日本電信電話(以下、NTT)は4月25日、災害時に通信インフラ屋外設備における設備個々の被災状況を予測するAIを開発したことを発表した。これにより、被災の軽減や早期復旧に必要なプロアクティブな対応を支援するという。
この技術は同社グループがこれまで災害発生時に実施した点検や補修といった設備データから、被災パターンを学習した予測モデルを構築して被災予測を実現したもの。全国で入手可能な公開データから予測が可能であるため、設備の設置場所を問わずに被災を予測できるとのことだ。同社は以下の3つの技術を開発した。
豪雨よる土砂災害に対する電柱の被災予測技術
これは、豪雨によって引き起こされる土砂災害などにより、どの電柱が被災するかを予測する技術。これまでは土砂災害自体を予測するために現場調査や統計的に簡易な雨量と傾斜角で予測する手法などが用いられてきたが、設備個別の予測は困難だった。
今回開発した技術は、雨量や標高、地盤の強さ、河川からの距離といった公開されているデータのみで、各電柱の被災リスクが予測可能とのことだ。精度は98%だという。
河川氾濫に対する橋梁添架管路の被災予測技術
これは、豪雨によって引き起こされる河川氾濫により、どの橋梁添架設備が被災するかを予測する技術。これまで河川氾濫時にどの設備が被災しやすいかは予測が不可能とされていた。今回、水位変動や川幅といった河川のデータと設備のデータから被災しやすい箇所を分析し予測するモデルを確立。精度は90%だという。
地震に対する地下管路の被災予測技術
これは地震によってどの地下管路が被災するかを予測する技術だ。一般的に地下管路に対しては、管路の種類や地震の最大速度などから1キロメートル当たりの被害件数を推定する方法が使われる。一方この技術は設備建設時からの経過年数や地震の最大加速度など、これまで利用されていないデータも用いることで、設備個々に高精度な予測を可能としている。精度は87%とのことだ。