フリーは4月25日、三井住友海上火災保険(三井住友海上)と業務提携を開始したと発表した。同提携により、スモールビジネス向け統合型保険プラットフォーム「freee保険セレクト」の提供を2024年中に開始する予定。企業の事業リスク対策や人材定着を見据えた各種保険・共済などの補償商品に、フリーが提供する各種プロダクト上から加入できる仕組みを構築し、保険加入へのハードルを下げることを目指す。

  • フリーは三井住友海上との業務提携を通じて、各種プロダクトに保険・補償商材を連携させていく

    フリーは三井住友海上との業務提携を通じて、各種プロダクトに保険・補償商材を連携させていく

損害保険へ加入していない企業は約5割

2023年の日本損害保険協会によると、多くの企業が経営や事業のリスクを感じている一方で、事故への対策として損害保険へ加入している企業は半数程度にとどまる。約3割の企業が「対策・対処していない」としている。

同日の記者説明会に登壇したフリー 常務執行役員 CSO(最高戦略責任者)の武地健太氏は、「中小企業や個人事業主からの『リスクへの対応を施したいが、どの保険商材を選べばいいのか分からない』といった声は多い。あらゆるリスクに対応する保険商材を統合型のプラットフォーム上で提供していく」と説明した。

freeeの各種プロダクトと連携し保険・補償商材をレコメンド

freee保険セレクトは、同社が手掛ける会計、人事労務、支出管理、販売管理などの統合型クラウドERPの情報と接続されたサービスを提供する。

  • freee保険セレクトは既存の各種プロダクトと情報連携し、補償商品のレコメンドたり、保険金の受け取りなどの経理処理を自動化したりする

    freee保険セレクトは既存の各種プロダクトと情報連携し、補償商品のレコメンドたり、保険金の受け取りなどの経理処理を自動化したりする

各種プロダクトと連携することで、業種・職種・個人ごとに細分化されたニーズに応じた補償商品のレコメンドや、保険料の支払い・保険金の受け取りなどの経理処理の自動化を実現する。さらに、従業員が加入している保険、補償商品の情報を基に給与天引きや年末調整時の保険料控除計算の自動処理が可能になる。

特徴は企業や個人事業主だけでなく、従業員自らがプロダクト上で補償商材の検索や申込ができる点だ。すべてがオンライン上で完結し、企業の管理者は管理画面から従業員の加入状況などを確認できる。

  • 企業、従業員、個人事業主それぞれがオンライン上で補償商材の検索や申込ができる

    企業、従業員、個人事業主それぞれがオンライン上で補償商材の検索や申込ができる

  • 企業の管理者は管理画面から従業員の加入状況などを確認できる

    企業の管理者は管理画面から従業員の加入状況などを確認できる

また、従業員からの補償請求は導入企業に代わってフリーが受け付けることで、企業の補償制度運営負担を削減する。2024年の提供開始時は以下の5商品を掲載する予定だ。

・ビジネスプロテクター(企業総合賠償責任保険)
・ネットde保険@とらべる(個人向け海外旅行保険)
・ネットde保険@ごるふ(個人向けゴルファー保険)
・ネットde保険@さいくる(個人向け自転車保険)
・1DAY保険(個人向け自動車保険)

また、介護費用助成金や介護休業補償金、入院見舞金などの従業員向け補償制度の導入のサポートも提供する。同制度を利用することで企業や事業者は、これらの福利厚生規程を容易に作成できるとのことだ。なお、フリーの各種プロダクトとの連携については順次提供を予定している。

  • 新サービスが提供する補償制度導入サポート

    新サービスが提供する補償制度導入サポート

三井住友海上「顧客接点のすそ野を広げる」

三井住友海上の業務提携の狙いは「顧客接点の拡大」だ。各種freeeプロダクトとのデータ連携によって保険加入に必要なデータを事前に入手することで、加入者手続きが簡素になる。保険加入のハードルを下げる狙いがある。

三井住友海上 執行役員 ビジネスデザイン部長の平野訓行氏は「個人だけでなく多くの法人が保険に対して『面倒くさい』『難しい』といったイメージを抱いている。保険の加入がなくても起業はできるが、freeeを使わずに起業するケースは少ない。freeeとの連携で顧客接点のすそ野を広げていく」と述べた。