アドビは4月25日、全国の国公立の小学校および中学校に勤務する教諭500人(小学校教諭250人、中学校教諭250人で均等割付)を対象に実施した、FAXの利用状況と校務のデジタル化に関する調査結果を発表した。
国公立教諭の86%が月に1回以上FAXを利用しているものの、過半数が廃止に賛成していることが明らかになった。
FAXが廃止される方針を70%超が「知らなかった」
政府は校務DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、教育現場でのFAXの使用を2025年度中に原則廃止する方針を示しているが、実際にFAXを学校でどの程度使用しているかを調べたところ、およそ半数の49.0%が「月に1回以下」と回答、「月に数回」との回答と合わせると72.8%で、「だいたい毎日」、「およそ週に複数回」と回答したのは13.6%にとどまった。
FAXを使用している理由は、「慣習的にこれまで受信側もFAXでの連絡を希望していたから」が58.6%で最多であった。FAXを少しでも利用している教諭の88.9%がFAXの使用において何かしらの不便・不安を感じており、最も多かった具体的な要因の56.2%が「ちゃんと送信出来たか確認ができない」であった。管理職では「個人情報対策や機密情報管理が不安(36.7%)」という声もあがった。
2025年度までにFAXが廃止される方針については、73.2%が「知らなかった」と回答し認知率は26.8%と低い。また、FAXの廃止について「とても良いと思う」が19.8%、「良いと思う」が31.6%と、合わせて過半数となる51.4%が賛成を表明した。役職別では、一般職(50.8%)よりも管理職(60.6%)で「とても良いと思う」「良いと思う」と回答した割合が約10%高く、管理職教諭のほうがFAX廃止に賛成していることがわかった。
FAXの廃止でペーパレスを望む声
FAXの廃止を通して期待するメリットを聞くと、80.5%がペーパレスにつながると回答。また、管理職の45.0%がFAXの使用廃止によって、個人情報や機密情報管理が徹底されることを期待していた。
デジタル化によって仕事の効率が上がると思われる校務は「過年度に作った書面がPDFで残っていたので、数字や曜日などの軽微な修正のみPDF上で行う」という例で79.0%と最多。「過年度のファイルと今年のファイルを画面上で並べて比較し、変更箇所をチェック」という例についても78%が「とても/多少は効率が上がると思う」と回答し、こうした過去の書類の再利用や定期的に例年作成する書類についてデジタル化による効率化に期待していることがわかった。
小中学校では保護者や外部とのやり取りでは押印や署名が行われているが、電子サインで代用すると業務効率化が図れると思うか尋ねると、54.2%が「思う」と回答し、電子化に期待する教員が過半数以上存在している。