Sansanは4月25日、同社のインボイス管理サービス「Bill One」が、請求書関連業務に携わる726名の経理担当者を対象に実施した「請求書の発行業務に関する実態調査」の結果を公表した。郵便料金の値上げが半年後に迫るなか、依然として請求書の発行は紙が主流であることがわかった。

  • 自社で発行する請求書について「紙の割合が高い」企業は約6割、「電子の割合が高い」企業は約2割で、いまだ電子化は進んでいない

    自社で発行する請求書について「紙の割合が高い」企業は約6割、「電子の割合が高い」企業は約2割で、いまだ電子化は進んでいない

総務省は3月7日、定形封書の郵便料金上限額を84円から110円に引き上げる案を承認し、10月頃に改定される予定であることを受け、「Bill One」は、企業における請求書の発行方法と郵便料金値上げの負担について調査した。

請求書発行関連業務に携わる726名の経理担当者に対し、自社で発行している請求書は紙と電子どちらの割合が高いか聞くと、「紙の割合が高い」という回答は62.8%で最も多く、「電子の割合が高い」と答えたのは22.5%であった。2023年4月の同社調査では「紙の割合が高い」が63.1%と約1年間経ってもほとんど変わらない結果となり、依然として請求書の発行は紙が主流であることがわかった。

続いて、郵便料金の値上げを機に、請求書発行を紙から電子に切り替える予定があるか尋ねると、「郵便料金値上げを知る前から、紙から電子への切り替え(または切り替えの検討)を進めていた」が35.7%、「郵便料金値上げを機に、紙から電子への切り替えを検討している」が14.0%で、電子への切り替えを進めているまたは検討している企業が合計49.8%と約半数であった。

  • 一方、約5割は電子への移行または移行の検討を行っている

    一方、約5割は電子への移行または移行の検討を行っている

また、経理担当者に聞いた「自社で発行している請求書の件数」と、「そのうち紙で発行している割合」を掛け合わせたところ、1社あたり月平均3465件の請求書を紙で発行していることが判明した。郵便料金の値上げに伴い、請求書1件あたりの郵便料金が26円引き上げられた場合、請求書の郵送にかかる企業の費用負担は年間108万円程度増加する見込みだという。なお、従業員101名以上の中堅・大手企業に限定すると、1社あたり月平均4443件の紙の請求書を発行しており、郵便料金の値上げに伴う、郵送費用負担は年間で139万円程度増加することが見込まれるということだ。

  • 郵便料金の値上げによる追加費用は、1社あたり年間平均約108万円の見込み。中堅・大手企業に絞ると139万円に増加

    郵便料金の値上げによる追加費用は、1社あたり年間平均約108万円の見込み。中堅・大手企業に絞ると139万円に増加

一方、発行している請求書について「電子の割合が高い」または「紙と電子が半々」と答えた人に請求書発行を電子化するメリットを聞いたところ、「社内のペーパーレス化が進んだ」が73.2%で最多、次いで「郵送代など請求書発行にかかるコストを削減できた」が58.0%、「請求書を処理する時間が減った」が42.4%であった。

また、経理担当者が感じた具体的なメリットとしては、「印刷にかかる費用削減(建設・不動産)」「紙保存のスペースが減り、事務所の有効活用が可能になった(運輸・物流)」といったコスト削減に関するもののほか、「請求書を探すのに苦労をしなくなった(建設・不動産)」「請求書をなくしたかの社内外トラブルがなくなる(製造)」など業務の効率化につながったという声のほか、「在宅勤務が可能になった(IT・情報通信)」「原始的な仕事が減り付加価値の高い業務に時間を回せるようになった(食品・小売・飲食)」など、働き方に関する回答も多数寄せられたという。

  • 請求書を電子で発行するメリットのトップ3は「ペーパーレス化が進んだ」「郵送代などコストを削減できた」「請求書の処理時間が減った」

    請求書を電子で発行するメリットのトップ3は「ペーパーレス化が進んだ」「郵送代などコストを削減できた」「請求書の処理時間が減った」