矢野経済研究所が4月23日に発表した調査結果によると、2023年のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比120.5%の1兆9400億円になる見込みだ。業務効率化のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)から競争力向上を目指すDXへ対象が広がったことが要因だと同社は推測する。また、生成AI(人工知能)の急速な普及が成長を後押ししているとのこと。
2022年11月に登場した生成AI「ChatGPT」は、あたかもAIと会話できているかのような新たな体験をもたらした。生成AIの技術には基盤モデルと呼ばれる、一般化された膨大なデータによってトレーニングされた機械学習モデルが利用される。大手クラウドベンダは、基盤モデルや機械学習モデルの開発、各種モデルを組み込んだアプリケーションの開発が可能なプラットフォームを提供している。加えて、対話型AIチャット機能やユーザーの業務をサポートするAIアシスタント機能などを既存サービスに組み込んで提供している。
一方、ユーザー企業では、対話型AIの活用は現時点でセキュリティ環境下における運用が重要視されている。そのためにまずは、生成AIとの対話によるアイデアの整理や議事録の作成・要約などの自社内の限定的な領域で、生成AIの活用を進めているのが現状だ。
クラウド基盤サービス市場は、今後も順調に成長していくと同社は予測。その要因のひとつが、過去の技術や仕組みで構築され、最新技術の適用が難しいといわれるレガシーシステムの刷新だ。レガシーシステムによりDXの遅延や経済損失などが引き起こされる「2025年の崖」も迫っており、レガシーシステムの刷新を考える企業は今後も増加していくと同社はみている。2027年までに同市場規模が3兆8000億円まで拡大すると予測している。