キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は4月22日、オンラインで説明会を開き、財務会計/人事給与システム「SuperStream-NX」(スーパーストリームエヌエックス)の新たなオプション機能として、インボイス制度に対応しデジタルインボイスの発行/受取が可能となる「SuperStream-NX デジタルインボイスオプション」を6月1日より提供開始すると発表した。

  • 「SuperStream-NX デジタルインボイスオプション」の概要

    「SuperStream-NX デジタルインボイスオプション」の概要

インボイス制度で複雑化する業務を効率化するデジタルインボイスオプション

2023年10月から開始されたインボイス制度により、請求書の処理業務は、請求内容の確認/請求書入力/支払い承認処理/会計処理などそれぞれの処理業務において複雑化している。また、多くの企業は、請求書の処理業務に多くの工数や時間を費やしていることから、業務の効率化が求められている。

キヤノンITソリューションズ 常務執行役員 デジタルイノベーション事業部門 担当 SuperStream統括本部長の村松昇氏は「デジタルインボイスはコアな機能になり、請求書業務を効率化する。昨年10月にデジタルインボイスが解禁され、データのみで可能になり、紙やPDFを電子化したデジタル活用がスタートした。インボイス制度がスタートした結果、紙やPDFの制度に沿っているのかというチェックも多く、インボイス残業もある。こうした煩雑なチェックから解放し、請求業務のデジタライゼーションを実現していく。ペーパーレスは伸びしろがあり、これを機会にデジタルインボイスをトリガーに生産性を向上させる仕組みを導入していきたい」と述べた。

  • キヤノンITソリューションズ 常務執行役員 デジタルイノベーション事業部門 担当 SuperStream統括本部長の村松昇氏

    キヤノンITソリューションズ 常務執行役員 デジタルイノベーション事業部門 担当 SuperStream統括本部長の村松昇氏

同社は、財務会計/人事給与分野に特化した経営基盤ソリューション「SuperStream-NX」を、2023年12月末時点で累計1万702社(うち上場企業842社)に導入しており、請求書入力業務を効率化するAI-OCRオプション、証憑の保管を行う証憑管理オプションなどを提供している。

今回、新たに提供を開始するジタルインボイスオプションは、電子文書をネットワーク上でやり取りするための標準仕様であるPeppol(ペポル)に準拠したデジタルインボイスの発行/受取に対応し、すべての請求書を標準化することにより、請求書の処理業務を効率化するという。利用にはSuperStream-NX統合会計が必要となる。

2029年までに累計導入社数420社

ここで言及されているPeppolは、インターネット上でデジタルドキュメントをやり取りするための文書仕様、運用ルール、ネットワークのグローバルな標準仕様だ。欧州発祥だが近年ではシンガポールやオーストラリア、ニュージーランドなどでも採用の動きがあり、Peppolをベースとしたデジタル経済圏の構築が進みつつある。

キヤノンITS SuperStream営業本部 SSマーケティング部 部長の山田英樹氏は「SuperStream-NX統合会計の中に債権管理の機能があり、伝票を入力すればデジタルインボイスオプションにデータが流れていく。Poppolネットワークを経由して受け手側にデジタルインボイスが送信される。受け手側がSuperStream-NXであれば、支払いデータの生成など、さらに効率化できる。また、送り手側がSuperStream-NXでなくてもPoppolネットワークを経由して、支払い管理システムでデータが受領できるため、受領したデータから自動起票を実施できる機能を今後は提供を予定している」と説明した。

  • キヤノンITS SuperStream営業本部 SSマーケティング部 部長の山田英樹氏

    キヤノンITS SuperStream営業本部 SSマーケティング部 部長の山田英樹氏

請求書発行(送り手)側では、SuperStream-NX統合会計(AR)で計上した債権伝票をもとにデジタルインボイスを作成し、作成したデジタルインボイスは、Peppolネットワークを介して取引先に配信。配信したデジタルインボイスは、自社発行の控えとして保管される。

  • 「デジタルインボイス項目対応マスタ画面

    デジタルインボイス項目対応マスタ画面」

取引先マスタや債権伝票の各項目とデジタル庁と民間ベンダーにより選定された国内の標準仕様「「JP PINT」の各要素を紐づけ・変換することで、必要項目を網羅したデジタルインボイスの自動作成を可能とし、発行後に誤りがあった場合も考慮して訂正請求書の発行も可能としている。請求書の発行方法は取引先ごとに紙・メール・デジタルインボイスからの選択ができる。

  • デジタルインボイス作成/送信画面

    デジタルインボイス作成/送信画面

一方、請求書受取(受け手)側はPeppolネットワークを介してデジタルインボイスの受取を行い、受取したデジタルインボイスはステータス管理され、デジタルインボイス確認リストとして視認性を高めた形で参照できる。取引先ごとに自社担当者を設定することで、担当部門ごとの管理および支払伝票の計上処理を可能としている。

また、2025年6月には機能強化として、デジタルインボイスの情報から支払伝票を自動作成するためのマスタを用意し、デジタルインボイスから支払伝票を登録することでマスタが自動作成され、次回からは自動起票が可能になる。作成された伝票にデジタルインボイスの情報が自動添付され、伝票とセットでいつでも確認できる、デジタルインボイスからの支払伝票自動作成および仕訳用マスタの自動更新機能を提供する予定。

価格は基本料金が年額9万円、基本料金にはアクセスポイントの利用料と年間2400枚までの送受信が含まれ、2400枚を超える料金は別途追加料金が発生。まずは2025年に累計導入社数43社、2029年までに同420社を目指す。