電通は4月22日、クリエイティブ部門の新たなワークスペースを本社内に開設したことを発表した。このワークスペースは、同社のクリエイティブ部門のメンバーが自らリサーチからデザインまでを手がけたもの。
ワークスペース開設の背景
同社のクリエイティブ部門では、個人の専門性を発揮するデザイン業務や、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まり新たな価値創造に取り組むプロジェクトなど、仕事の内容や働き方は多岐にわたる。
加えてリモートワークの定着など働き方が多様化する中で、メンバー同士がさらに交流を深め、より創造性が発揮できるワークスペースへと進化させていくことを目指して、同スペースは開設されたという。
「共創のスペース」と「静かに考えるスペース」
ワークスペース新設に向けたリサーチの結果、既存のオフィス空間において、「従来のフロアは効率的な席配置や動線を重視。一方で、ふとした会話が生まれにくく、お互いの様子が見えにくいため、クリエイティビィを高める偶然の交流が少ない」「オフィスならではの集中力を発揮したい。外音の影響を受けず仕事に打ち込み、本や大きな資料を机に広げて作業したい」といった課題や要望が明らかになったという。
そこで、情報セキュリティを維持しつつ、フロアを「共創のスペース」と「静かに考えるスペース」の2つのコンセプトで分け、メンバーそれぞれの多様な働き方を実現する場として誕生させた。
共創のスペースでは、人が自然な距離感で接触できる「交差点」となるスポットを人間工学やUIの知見を取り入れ複数導入している。具体的には、仕事中にメンバー同士で自然にアイコンタクトができ、無意識のうちに出会いや接点が生まれ、お互いが話しかけやすい距離感を取れる設計をスペース全体で実現しているという。
またスペース内には、多様なメンバーがそれぞれのクリエイティビティを発揮できるよう、ユニークなサインオブジェクトや会議室をデザインし配置している。交流を促進するアートワークや、「青龍の間」「お茶の間」などがコンセプトの会議室も導入されている。
一方の静かに考えるスペースでは、お互いの距離を大きく取り、個人で広く使えるデスクスペースが導入されている。音に関するルールを設けるなど、本当に必要な集中を実現するための運用方法をUXの専門家も交えて策定し、オフィスワークならではの集中力を発揮できるスペースを確保したデザインとなっている。