Intelは4月17日(米国時間)、最大11億5000万ニューロンを実現したニューロモーフィック・システム「Hala Point」(開発コード名)を構築したことを発表した。
同システムは、イベントベースの非同期スパイキング・ニューラル・ネットワーク(SNN)、メモリとコンピューティングの統合、連続的に変化するスパース接続など、人間の脳に着想を得たコンピューティングの原理を取り入れて、高い電力効率とパフォーマンスの向上を達成した同社のIntel 4プロセスで製造されたニューロモーフィックプロセッサ「Loihi 2」を6ラックユニットのデータセンター向けシャーシに1152基搭載することで、14万544個を超すニューロモーフィック・プロセシング・コアに分散された最大11億5000万のニューロンを1280億のシナプスで結合。これにより、最大消費電力を2600Wに抑えつつ、1秒間に2京回(20Peta-ops)の演算処理性能を特長とし、従来のディープ・ニューラル・ネットワークを実行した場合、1ワット当たり1秒間に15兆回の8ビット演算を超える演算効率を実現するという。
すでに2024年4月14日から19日にかけて開催されている音響、音声、信号処理に関する国際会議「ICASSP 2024」にて、先行研究の成果として従来のCPUやGPUのアーキテクチャと比べて消費電力を100分の1に抑えながら、約50倍の速度でAIの推論を実行し、最適化の問題を解決できることを報告したとするほか、サンディア国立研究所が同システムを高度な脳スケールのコンピューティングに活用しようと計画中で、この導入を第一歩に、同システムを研究コラボレーターと共有していく予定としている。
なお、現時点でのHasa Pointは研究用のプロトタイプであり、将来的な商用システムへの適用を見込み、パートナーと協力して機能拡張を行っていく予定であり、そうした取り組みを通じて、新しいデータから継続学習を行うLLMなど、実用的なブレークスルーにつなげていきたいとしている。