矢野経済研究所は4月18日、産業用ドローンの世界市場に関する調査結果を発表した。これによると、2030年の同市場は1兆4124億円に達するという。
2000年代前後から中国や欧州、米国などでドローンのベンチャー企業が設立され、現在は高性能・高価格の機体が世界中で提供されており、日本でも同時期からドローン・メーカーが誕生している。
2024年の産業用ドローン世界市場(メーカー販売金額ベース)について、同社は3186億9400万円と予測している。ドローンは多くの産業用途で事業が定着しており、市場拡大に向けて展開していると同社は見る。
ドローンは、農林水産業や点検・測量、警備・監視などの産業用途での利用が進んでおり、日本国内での今後の成長分野の1つとして、災害対応での利用拡大が想定されている。
2022年4月の時点で全国の消防本部の約6割がドローンを導入しているといい、2022年度からは、災害対応ドローン整備のための機体等の調達経費を新たに緊急防災・減災事業債の対象とすることが決まった。
2023年度には地方財政計画に5000億円が計上され、対象事業に指定避難所の生活環境改善のための取り組みへの支援と共に、消防本部への水中ドローンの配備が追加された。
本格的な機体導入の動きは2024年度以降と想定されていることから、ドローン・メーカーでは災害対応ドローンとして必須である機体の型式認証取得や重ねての研究開発、また市民への機体認知度の向上に向けた取り組みが進められている。
将来展望に関して同社は、ドローンは自動車や旅客機といった既存モビリティと同様に、機体を扱う際の法規制や環境作りなどが世界的に整えられてきている点を指摘する。
今後は、安全性も高く各産業へ利用できることが評価され、順調に市場が拡大していくと同社は考える。中国や欧州、北米、その他各国でも日本と同様に、産業ごとの実証実験が実装ステップへと進み、機体需要が増加していく見込みだという。