4月17日、「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」(以下、改正NTT法)が成立し、付則で「日本電信電話株式会社等に関する法律の廃止を含め」検討することおよび「令和七年に開会される国会の常会を目途」と時限を設ける旨が規定された。

「NTT法」とは

NTTの前身にあたる日本電信電話公社が民営化され、通信自由化ならびに公平かつ安定的な電気通信役務を果たすことを目的に、NTT法が制定された。

同法では、政府が発行済み株式の3分の1以上を保有すること、国民生活を支えるユニバーサルサービスとして固定電話サービスを全国でくまなく提供すること定めており、通信に関する研究の推進や成果の普及を「責務」としている。

同法が市場競争の制約となっているとして、政府は2023年に同法の改正の検討を始めた。

「NTT法」が問題視される背景

これを受け、NTTの競合となる通信事業者であるKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは、「NTT法の廃止を議論するのであれば、オープンな場で十分議論を尽くすべき」との意見を表明。

さらに、NTT法廃止は「電気通信サービスの提供に大きな影響を与える根本的な問題」「地域サービスの衰退にもつながる重大な問題」として、反対の立場をとっていた。

  • NTT法廃止に反対する181者による主張 引用:NTT法の見直しに関する意見表明

NTTの見解

NTTは、NTT法改正により、研究開発の推進責務・普及責務が撤廃されたが、グローバルなパートナーと機動的に連携しながら、引き続き研究開発に積極的に取り組むとのコメント出している。

外国人役員規制が一部緩和されたことについては、同社の機動的な経営に資すると考えるが、外資規制と同様、日本の経済安全保障の観点から、主要通信事業者全体を対象として議論していくことが必要と考えるとしている。

KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの共同見解

KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社は、公正競争やユニバーサルサービス義務、経済安全保障に関する事項は、総務省の情報通信審議会で引き続き検討されている状況において、改正NTT法の付則で「日本電信電話株式会社等に関する法律の廃止を含め」検討することおよび「令和七年に開会される国会の常会を目途」と時限を設ける旨が規定されたことに、懸念を示している。

一方、今後のNTT法のあり方の検討にあたり、「ユニバーサルサービスの確保、公正な競争の促進及び電気通信事業に係る安全保障の確保等の観点から慎重に検討を行う」こと、「国民生活への影響も大きいものであることから、広く意見を聴取し、国民の理解が得られるよう検討の過程及びその結果について十分に説明を行うこと」などを求める付帯決議がなされたことは、国益・国民生活を保護する観点から意義が大きいと評価している。

3社は引き続きNTT法の「廃止」には反対するとともに、NTT法のあり方について付帯決議に基づき、より慎重な政策議論が行われることを改めて強く要望すると述べている。