大日本印刷(DNP)は4月17日、循環型社会の実現に向け、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分全体をリサイクルポリ塩化ビニル(PVC)で製造することを可能にし、同製品の販売を4月より開始することを発表した。
PVCは、世界的に見ても広く使われているカード基材で、リサイクルPVCの使用によるCO2排出量削減効果は比較的高いとされている。
DNPは、国内製造シェアで同社が多くの割合を占めるICカードについて、環境に配慮した原材料の使用などを進めており、その一環として2021年には、リサイクルPVCを一部に使用した非接触対応ICクレジットカードの製造を開始。そして今般、リサイクル材の使用比率を極限まで高めた(カード全体の約93%)非接触対応ICクレジットカードを、環境に配慮した製品のラインナップに追加したとする。
従来、ICカードのプラスチック部分をすべてリサイクル材で製造することは、材料の特性上難しかったとのこと。しかし今回DNPは、ICカードの設計に工夫を施すことで、プラスチック部分全体をリサイクル材に置き換えることを可能にしており、カード基材としてのVISA認定も取得している。またその材料調達においては、カード用リサイクルPVCを提供するサプライヤと連携し、パッケージ工場で排出されるPVCの廃材・中間材を回収して加工したリサイクル材を使用するとしている。
DNPは、自社製品のカーボンフットプリントを算定・検証するシステムにおいて「SuMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の認証を取得したことにより、“証券印刷物”にあたる非接触対応ICクレジットカードについても、信頼性の高いCFPデータの提供が可能になったとする。そして同社によると、リサイクルPVCを100%使用することで、リサイクルPVCを使用しない同社従来品との比較において、原材料調達から製造・輸送・廃棄までのライフサイクル全体で、カード1枚あたり約19.5gのCO2排出量削減効果があると報告している。
なおDNPによると、新製品は従来のカードと比較して5~10%の価格上昇を目途として提供していく予定だといい、環境負荷の低減や循環型社会の実現に取り組む金融機関のほか、電子マネーカードやポイントカード、会員証を発行する事業者などに提供していくとする。また、CFPや植林・森林保護などの取り組みを通じて企業活動で排出するCO2を直接・間接に吸収するカーボンオフセットと組み合わせて新製品を提供するなど、一層の環境配慮施策についても提案していくとのことで、2028年度までには環境配慮型ICカード関連の売り上げとして累計約400億円を目指すとしている。