東京ガス(笹山晋一社長)が再生可能エネルギーベンチャーのレノバと資本業務提携を締結した。レノバが実施する第三者割当増資による約178億円の新株式発行を引き受けることで、東ガスは約13%の議決権を保有。東ガスはこれにより、創業者で社長の木南陽介氏に次ぐ第2位株主となる見通しだ。
レノバは2012年から再エネの発電事業に参入。太陽光、バイオマス、風力、地熱など、合計設備容量(建設中を含む)は118万㌔㍗の発電所を運営。一方、長期的な脱炭素社会への移行を見据えて、東ガスは2030年に再エネ電源の取扱量を600万キロワットとする目標を掲げる。23年3月末時点での再エネ取扱量は約162万キロワットで、レノバとの提携によって、再エネ事業の拡大を図るのが狙い。
両社は陸上風力発電の共同開発やバイオマス発電における協業、系統用蓄電池事業における協業などを検討しているようだ。
東ガス副社長の木本憲太郎氏は「レノバの優れた開発力と東京ガスグループの広範な販売力という両者の強みを最大限に発揮し、再生可能エネルギー由来の電気をより多くのお客さまにお届けする」とコメントした。
レノバは2021年末に社運を賭けた洋上風力発電の公募・入札に落選。三菱商事を中心とする企業連合が3海域を〝総取り〟し、戦略の練り直しを迫られていた。市場評価の基準となる株価も、21年に6千円台をつけていたが、足元では1300円前後で推移している。
一方の東ガスは昨年末、米国のシェールガス開発企業を約4千億円で買収すると発表。同社にとっては過去最大級の買収で、エネルギーの移行期にあって、天然ガスの需要はまだまだ大きいと判断した。
将来的な脱炭素への移行に向けて、中長期をにらんでの東ガスとレノバの提携である。