TrendForceによると、2024年のLED市場はゆるやかな回復基調に乗り、前年比3％増の130億ドルとなることが予想されるという。

市場けん引役としては、主に自動車向けディスプレイおよび照明のほか、一般/建築/農業用照明、ビデオウォール、紫外線(UV)/赤外線(IR)などが期待できるとしている。また、Samsung Electronicsによる大型ディスプレイやスイスの時計メーカーであるタグ・ホイヤー(TAG Heuer)による高級時計へのマイクロLEDの導入の成功も、市場の成長をけん引する役割を担うともしている。

中でも車載分野が高い成長率を達成することが期待されるという。背景には新エネルギー車(NEV)の普及に伴うADB(配光可変型)ヘッドライト、ミニLEDテールライト、全幅テールライト、スマートアンビエント照明、ミニLEDバックライトディスプレイなどの先進技術の採用が進むことが期待され、それにより自動車用LED市場は2024年に34億ドル規模まで成長すると予想されるとしている。ちなみにマイクロLEDは欧州では読書灯やコントロールノブなどでも活用が進んでいるという。

また、欧米ならびに日本の自動車メーカーはマイクロLED透明ディスプレイの導入を計画しているという。自動車メーカー各社はマイクロLED HUD(ヘッドアップディスプレイ)によって70％を超える透明率を達成し、曲面デザインに対応することを要求していることから、今すぐというわけではないが、技術が成熟していく2026年から2027年にかけてAR-HUDまたはウィンドウディスプレイに透明マイクロLEDディスプレイの採用が進むことが期待されるとしている。

車載以外の分野としては、ミニLEDビデオウォール市場がSamsung Electronics、LG Electronics、中Leyard、中Unilumin、中Absenなどの大手メーカーの参入により急速に市場規模を拡大しているという。また、UV LED市場では、各メーカーが市場ニーズを満たす高出力の滅菌および浄化製品の拡大を推進しており、例えば中Huawei AITOによる空気殺菌へのUV-C LEDの応用(2023 年から 2025 年までの受注)によって、自動車室内の殺菌用途での採用が加速することが期待されるという。こうした背景もあり、日亜化学工業、韓Seoul Viosys、米ViolumasなどがUVランプ代替品ニーズへの対応を目的に包括的なUV-A/B/C LED製品ラインを立ち上げるなどといった動きを見せている。

このほか農業用照明は、中欧および東欧、特にチェコとポーランドで勢いを増しており、園芸用照明の価格下落もあり、植物工場向けソリューションのROIが向上しているほか、高緯度のアジアや北欧地域において野菜や飼料に向けた園芸用照明への投資も、冬の間の食品供給の幅を拡大することが期待されることから、LED市場の押し上げ要因となることが期待されるという。