パナソニック エレクトリックワークス社(パナソニックEW)は4月15日、インターホンを通じて地域事業者・小売店からの情報やお得なお知らせを届ける地域情報配信サービス「まちベル」を首都圏エリアの新築大規模タワーマンションから提供を開始すると発表した。同日にはメディア向けに説明会が行われた。
“地域をつなぐ”新サービス
同社では、インターホンを用いて2022年にマンション管理会社向けに業務効率化・省人化を目的とした管理サービスである「モバカン」の提供を開始しており、新サービスはインターホンを活用したサービスの第2弾となる。インターホンに地域情報を配信し、ファンづくりを支援する広告事業だ。
パナソニック エレクトリックワークス社 サービスクリエーションセンター 所長の川勝正晴氏は「コンセプトは“地域をつなぐ”だ。ローカルメディアに特化した形で提供する。これまで地域住民にPRする手段は、新聞折り込み広告やチラシのポスティングが主流だったが、昨今ではポスティング禁止のマンション増加や新聞購読者数の低下などもあり、地域店にとって住民への訴求手段の減少が加速している。一方、個人スマートフォン(スマホ)への広告、情報発信は増え、無作為に届く広告情報に疲弊することも多くなっている状況にある」と述べた。
このように、人々を取り巻くメディアが変わりゆく中で、同社では高い市場シェアを持つインターホンに着目し、地域情報メディアとして活用していく新たな取り組みをスタート。
新サービスの特徴
新サービスの主な特徴として、配信希望事業者は新サービスのシステムから簡単に届けたい情報を作成・入稿し、ダイレクトにインターホン画面に配信することができる。インターホン側では午前9時と午後4時の時間帯に音や光で知らせされるメッセージを受信し、役立つ情報が取得できるという。
また、店舗で使うQRコードをはじめとしたスマホ用クーポン発行も簡単に作成することが可能なため「これから買い物に!」というタイミングで、適切かつ効率のよい実需につながるクーポン配信を可能としている。
さらに、マンション居室内に必ず設置されているインターホンに配信できるサービスのため、閲覧率・集客率・高いエンゲージメントを実現することが、これまでの実証により確認できているという。
マンション内における閲覧実績は平均で30%以上かつ一般的にチラシ集客率が0.01~0.3%といわれるところ、新サービスでは平均4.5%の集客率を実現したとしている。
不特定多数相手に大量の広告を配信し、その中から一定割合の顧客にリーチする一般的なマスメディアに比べ、閲覧率、集客率、顧客エンゲージメントにおいて特徴的な効果をもたらすピンポイントマーケティングツールとしての活用が可能。
加えて、配信された情報に対する閲覧結果、クーポン利用情報などはマンション単位で計測が可能となり、同社からレポートとして提出し、それらデータは実施した販促改善の振り返りや、今後のイベント企画に対する基礎情報として利用を可能としている。
閲覧から、クーポンダウンロード、実際にお店利用につながった割合や、リピート率、閲覧の継続性など、さまざまなデータにより、次の季節催事やイベントを改善していく取り組みを支援するという。
2030年には100エリアに展開
新サービスの説明を行ったパナソニック エレクトリックワークス社 コアビジネス推進室 サービス事業企画 統括 主幹の井上祐一氏は「現状では大型のタワーマンションに対して、大型の商業施設から情報を提供し、2030年には100エリアほどの展開で売り上げとしては16億円を見込んでいる。将来的には小規模、賃貸マンション、戸建てへの展開も予定し、予約から決済サービス、コミュニティサービスにつなげることも想定している」と今後の展望を示していた。
具体的には新サービスを通じて、地域事業者に対して新たな顧客接点を提供し、顧客との出会いの場からファン作りまでを一気通貫で支援し、地域活性を図り、将来的には小規模マンション・賃貸マンション・戸建物件にサービス導入を拡大していく考えだ。