パナソニックホールディングス(パナソニック)、パナソニック オペレーショナルエクセレンス、九州工業大学(九工大)の3者は4月12日、3Uサイズ(10cm×10cm×30cm)の超小型人工衛星「CURTIS」(Compact Utility Research Technology Integration Satellite)を共同開発。同月11日に国際宇宙ステーション(ISS)から無事放出され、その動作実証およびパナソニックグループにて製造販売している部品やコンポーネンツの宇宙空間での約1年間の技術実証を開始したことを共同で発表した。
CURTISの開発には、パナソニックグループのエンジニア、九工大 革新的宇宙利用実証ラボラトリーを中心とした九工大の教員・スタッフ・学生が参加した。
CURTISは、パナソニックグループの電子機器実装技術と、九工大の超小型衛星開発力を持ち寄って開発された。パナソニックが今回キューブサットを打ち上げた背景には、宇宙ビジネスが世界中で進展していることが挙げられるという。今後、人工衛星や宇宙機器に、今以上にさまざまな電子部品やコンポーネンツが搭載されていくことが想定される中、同社としては、同グループが取り扱う車載や5G通信用途向けの部品を宇宙展開を行っていく上で、宇宙空間での部品の信頼性や地上での評価試験などが十分に検証がなされていない点が課題となっていたとする。
そこで今回は、それらの部品が、特別な改良を加えることなく、宇宙空間でもそのまま使えるかどうかを調べることにしたという(デバイスレベルで宇宙空間での利用を想定した信頼性試験や真空環境での動作試験は実施済み)。今回の技術実証の詳細な内容は、主に以下の3点。
組み立て容易な衛星として設計された、超小型人工衛星そのものの動作実証を行う。
パナソニックグループにて取り扱う製品群の宇宙空間での技術実証を実施。なお、今回実証する部品群に関しては、地上で利用されている部品やモジュールを利用し、宇宙用途として転用できる可能性が検証される。
モバイル端末や小型軽量化が求められる製品群で培われた高密度回路設計技術・実装技術を用いて人工衛星の基本バス部を小型化し、ミッション部の容積を拡大した技術、および放熱性に優れたグラファイト材料技術などにより構成されたサーマルマネジメントユニットを用いた回路形成技術の実証を実施。
パナソニックと九工大は、今回の実証を通じて得られた技術データを活用して、今後の宇宙産業を支えるコンポーネンツとしての提供を目指すとしている。また、小型人工衛星においては、バス衛星として今後の両者の宇宙活動に活かすと同時に、宇宙での技術実証やサービスを行う事業者との協創を通じ、より多くのミッションを行うことが可能な6U(10cmx20cmx30cm)や12U(20cmx20cmx30cm)サイズなど、キューブサットの中では大型衛星への展開を進めていく予定とした。