【国土交通省】芸備線存廃議論がスタート ローカル線再編の試金石に

国土交通省は先月、岡山、広島両県を走るJR芸備線一部区間の存廃を含めた再編方針を議論する「再構築協議会」の初会合を広島市内で開いた。協議会の開催は全国で初めて。今後3年以内を目安に、存続やバス転換などの方針を決めることを確認した。

 議長を務めた国交省の益田浩中国運輸局長は「芸備線の利用は大変厳しいと認識している。具体的なファクトとデータに基づき議論を進めていく」と語る。

 再編議論は、採算が悪化しているローカル鉄道の中でも、特に利用者数が少ない芸備線の備中神代(岡山県新見市)―備後庄原(広島県庄原市)間が主な対象。初会合では中国運輸局や岡山、広島両県、新見、庄原、広島、三次各市、JR西日本などを構成員とする規約が制定された。次回の協議会は今秋をめどに開く予定。

 これに先立ち、より実務的な議論を行う下部組織の「幹事会」を5月中旬までに開催したい考えだ。

 赤字ローカル鉄道の再編は全国的な課題となっているが、路線維持を求める地元の反対もあり、存廃協議が進まないケースも多い。芸備線の行方は各地の議論本格化に向けた試金石として注目されているが、今のところ自治体側とJR西の考えには依然隔たりも見られる。

 岡山県の伊原木隆太知事は協議会の初会合に先立ち、「路線を維持して増便してもらうのが一番ありがたい」と言及した。一方、JR西の長谷川一明社長は「今のままでは持続的な公共交通として(存続が)難しい」と訴える。

「行司役」を担う国の調整力が問われるが、斉藤鉄夫国土交通相は「廃止ありき、存続ありきという前提を置かず、中立的な立場から円滑に議論を進めていく」と強調。客観的なデータを交えつつ、両者が納得できる落としどころを探る展開になりそうだ。

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