無料対話アプリ「LINE」をめぐる利用者の個人情報流出問題で、総務省はサービスを提供するLINEヤフーに対し、再発防止の徹底を求める行政指導を行った。LINEの情報インフラの保守・運用を担う韓国IT大手、ネイバーに対する監督の強化や、ネイバーとの間で共通化している従業員情報を扱うシステム基盤の分離を求めたほか、ネイバーとの資本関係見直しを要請する異例の内容となった。
松本剛明総務相は「少なくとも1年間にわたって定時的に報告するよう求める」とした上で、「改善が見られず、同様の事案が発生する場合は、より強い措置を実施することも視野に入れる」と述べ、強い姿勢で監督する方針を示した。
LINEヤフーは、旧ヤフーと旧LINEの経営統合を経て発足した企業。2023年11月、LINE利用者らの個人情報約44万件が流出した恐れがあると発表し、その後の調査で流出件数は約52万件に膨らんだ。指導文書を受け取った出澤剛社長は「しっかり対応したい」と謝罪した。
LINEヤフーの親会社にはソフトバンクとネイバーが折半出資している。旧LINEはかつてのライブドアをネイバーが買収し成立した経緯から、ネイバー側のシステム基盤を活用。このためネイバー側からLINEのシステムにアクセスできるようになっていた。今回の情報流出では、マルウエア(悪意あるソフト)にネイバー側のサーバーが感染し、結果的にそこに保存されていた接続情報が不正アクセスに悪用された。
総務省は情報流出の原因として、LINEヤフー自体の安全対策が不十分だったと指摘。その上で、同社がネイバー側に安全管理を強く求めることが困難な事情として、保守・運用で頼らざるを得ない関係、親会社に50%出資している関係が影響しているとみて、経営体制の見直しについて適切な検討を求めている。