インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月12日、沖縄県が進めているGIGAスクール構想において、県立学校全85校で1人1台のデジタル情報端末利用(BYOD)による通信量増大に対応できるというネットワーク環境を再構築し、2023年11月に本格的に運用開始したと発表した。
学校の授業に立ち会い遅延箇所を特定
同社は文部科学省のGIGAスクール構想に基づき、全国の自治体や教育委員会向けに安全で快適なネットワーク環境の構築や運用を支援する「IIJ GIGAスクールソリューション」を、2022年から提供しているという。
今回、同ソリューションを通して、ネットワークの遅延箇所を特定し、帯域保証型の回線や各学校から特定のクラウド・サービスへのインターネット・アクセスを分岐させるローカル・ブレイクアウトを導入することで、ネットワーク全体の最適化を実現しているとのこと。
遅延箇所の特定にあたっては、「ネットワーク遅延の原因が分からない」との課題解決のため、実際に学校の授業に立ち会い、利用するアプリケーションや利用方法などをヒアリングすることで、インターネットの利用実態を調査したという。
その上で、回線品質の測定および分析を実施し通信状況を可視化することで、ボトルネック箇所の特定を行ったとのこと。
さらに、遅延原因の切り分けの結果から、各学校からの通信が集中して輻輳が起こりやすいデータセンター側の回線を、ベストエフォート型から帯域保証型に切り替え、ボトルネック・ポイントを解消したとしている。
各学校から直接インターネットにアクセスする構成へ
ローカル・ブレイクアウトについては、授業で利用するGoogle Web会議ツールやMicrosoft Officeアプリケーション、グループウェアなど、特定のクラウド・サービスへのアクセスは、各学校から直接インターネットにアクセスする構成(ローカル・ブレイクアウト)にしたという。
具体的には、「IIJクラウドナビゲーションデータベース」を利用し、各学校に同社独自開発のルータ(SEIL)を設置、特定のクラウド・サービスへのアクセスと、その他のインターネット・アクセスを分岐させているとのこと。
特に、ネットワークを圧迫するビデオ会議の音声や映像通信を各学校で分散させることで、学校側のインターネット回線の構成を変えずに、ネットワーク全体の安定化を図ったとしている。