【緊急アンケート】大谷翔平選手が直面した賭博問題 ─企業人は、ガバナンス面からどう考える?─

パートナー・部下との関係とはどうあるべきかを考えさせられる問題である─。

 米メジャーリーグの開幕戦直後の米国時間3月20日、ロサンゼルス・ドジャース所属の大谷翔平選手の専属通訳を務めていた水原一平氏が解雇された。理由は違法な「スポーツ賭博」への関与。そこで作った450万ドル(約6億7500万円)という借金は、大谷選手の口座から返済されていた。

 米国での報道によると、水原氏は当初、メディアの取材に対し「借金の返済を大谷選手に頼み、快く思われなかったが補填を承諾してくれた」と証言していたが、後日「嘘をついていた」、「大谷選手は賭博による借金について、何も知らなかった」として証言を撤回。

 その後、米国時間3月25日、大谷選手は声明を発表し「自分自身が賭けをしたり、他人に賭けを依頼したりしたことはない。スポーツ賭博には関与しておらず、ブックメーカー(賭け屋)に送金したという事実もない」とし、「今後は弁護士に一任し、自分自身も当局へ全面的に協力したい」とした。

 現在、メジャーリーグ機構、FBI(米連邦捜査局)、IRS(内国歳入庁)に加え、テロ問題などを担当するDHS(国土安全保障省)も調査を進めており、今後どのような真相が明らかになるかが注目されている。

 弊誌では本件に関連して「ガバナンス」の観点から緊急アンケートを実施した。その回答を見ると、多くの報酬を得る立場である大谷選手の〝甘さ〟を指摘する声と同時に、今後の活躍を期待する声も出た。その一部を以下に紹介する。

問1 (スター選手の問題処理)率直に、今回の問題をどう受け止めていますか。

・正直驚いている。大谷選手のようなクラスでは自分で会計処理を行わないと思うが、それにしても事件が発覚するまで気づかなかったということが本当であれば、管理が甘すぎたのではないかと思う。(情報・通信業)

・ビジネスはビジネスとして、キッチリ線を引くべきだったのではないかと感じます。(不動産賃貸業)

・資本主義の世界では倫理観が欠如していても、犯罪でない限り非難できない。(会計士)

問2 (個人のガバナンス)大谷選手は水原元通訳に、生活のことも含め全幅の信頼を置いていたとされています。ガバナンス、危機管理の観点からこの仕事の任せ方についての考え方を聞かせて下さい。

・危機管理は、これで大丈夫という事は絶対ないという事だけは知っておくべきだと思います。その上で、事が起きた場合、最善は何なのかを常日頃から考えておくしかないと思います。(証券業)

・契約内容は不明ながら、個人のみとの契約と推測される。今後は個人のみではなく、組織との契約が望ましい。(業務用ソフト開発業)

・相手を信頼しなければ、仕事を任せられない。自分1人で、すべてを行うことはできない。水原氏も一生懸命やっていたのであろうから、信頼関係も築かれたのだと思う。その意味で裏切られたとの思いもあるだろうが、災難と思って諦めるしかない。(不動産・卸売業)

問3 (つまずきからの立ち直り)順風満帆と思われる選手生活を送ってきた大谷選手ですが、今回実質的に初めてのつまずきとも言えます。そこから立ち直っていく時に必要な事は何だと考えますか。

・妻や球団関係者の支えのもと、本当に必要なやるべき事(野球)に注力し、法律的な問題など、自分で解決できない事は専門家に任せて、深く考えないようにする。(人材派遣業)

・水原氏だけの問題とせず、原因は自分にあったと反省し、対策すること。(情報サービス業)

・外から見れば初めてのつまずきに見えても、本人としてはもっと大きなつまずきをしているかもしれません。何か語るべきことがあるとは思えませんが、野球に全精力を傾けたいという思いの方だと思いますので、野球をやることでしか解決しないのではないかと思います。(事業開発業)

・人を信頼することも大切だが、仕事関係と友人は分け、それぞれの仕事は専門家に任せ、例えば、出納の管理結果は、資産管理会社等の専門家に報告させる体制にすれば、雑用からフリーになることができる。心置きなく本業に専念できる環境を整えることで、立ち直りは早くなるものと思う。(電子部品製造販売業)

・今回の問題は、大谷選手自身だけではなく、周囲の人々にも大きな影響を与えた。信頼できる家族、友人、チームメイトとのコミュニケーションを深め、共に問題を乗り越えていくことが重要である。周囲の支えは、大谷選手に勇気と力を与え、困難を乗り越えるための大きな力となると考える。大谷選手は、世界中の多くのファンから愛されている。ファンの声援は、大谷選手にとって大きな励みとなる。今回の問題を受け、ファンからの様々な意見や声に耳を傾けることで、自身の行動を振り返り、より良い方向へ成長していくことができると考える。これらのことを通して、大谷選手は更なる人間的な成長を遂げ、より一層輝かしい未来を築いていくことができると信じている。(化学業)

 いずれにせよ、人と人との関係、問題が起きた後の社会への説明がいかにあるべきかを考えさせる、今回の問題である。