【経済産業省】地域企業支援で指針策定 金融機関など役割明確化

経済産業省は、地域の課題解決の担い手となる中小企業の支援強化に乗り出す。こうした企業の定義や、サポートする金融機関などの役割を明確化する基本指針を3月に公表。4月以降、この指針を元に民間に委託して複数地域でモデル事業を展開する方針で、来年度予算に関連経費として6億円を計上している。

 基本指針は、寄付や社会的投資に関わる「日本ファンドレイジング協会」や里山保全などに出資する「東近江三方よし基金」の代表ら有識者で構成される研究会で議論された。

 指針では、米国で提唱された概念で、時価総額を重視する「ユニコーン企業」とは対照的に社会課題の解決と経済成長の両立を目指す「ゼブラ企業」に着目。人口減少で公的サービスの縮小が将来予想される中、こうした企業の増加と規模拡大につなげるため、金融機関や自治体などの関係者がスムーズに連携する仕組みづくりが必要と指摘した。

 実例として、林業をしながら、家具や雑貨の製造、獣肉の加工・流通といった地域資源の活用に取り組む岡山県西粟倉村のベンチャーや、規格外品の果物を流通させると共に、化粧品に活用する事業を通じ、農家の所得向上につなげた福島県国見町の企業などを紹介。こうした事業の支援者の役割として、解決すべき地域の課題を特定し、実証の場を提供することや、地域内外の関係者が交流する場の創出などを挙げた。

 従来、中小企業庁はこうした企業の創業費補助や官民連携事業の仲介を行ってきたが、担当者は「指針の策定は地域企業を支える資金や人材が循環するエコシステム(生態系)の構築が目的。モデル事業を通じて、次々と創業する企業が出てくる環境をつくりたい」と話した。

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