マネーフォワードは4月12日、オンラインで2024年11月期第1四半期の決算説明会を開催し、同社 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏と、同 取締役執行役員 CFOの金坂直哉氏が説明を行った。
「順調なスタートを切ることができた」 - 辻CEO
前回の通期決算の発表からビジネス概要と決算発表の2部構成としている。同社では、バックオフィスSaaS(Software as a Service)を中心とした「ビジネスドメイン」、決済サービスといった「ファイナンスドメイン」、SaaSマーケティング支援を行う「SaaSマーケティングドメイン」、Fintech推進・DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う「Xドメイン」、家計簿アプリをはじめとした「ホームドメイン」の各ドメインで事業を展開している。
冒頭、第1四半期の業績について辻氏は「順調なスタートを切ることができた。昨年12月に実施した個人事業主向けサービスの価格改定に伴い、ユーザー獲得、ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)が好調なほか、引き続きSMBのユーザー獲得も好調だったことから、過去最高のSaaS ARRの純増と過去最大の法人・個人事業主における課金顧客数の増加を達成した。また、EBITDA(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization:利払い前・税引き前・減価償却前利益)はスタートアップを支援する『HIRAC FUND』の売却益を除いても黒字化を実現できた」と振り返った。
金坂氏も「通期の見通しを達成するうえでも売上高や利益、EBITDAそれぞれの観点で非常に順調な良い滑り出しとなった。過去数年にわたる積極的な投資の結果、EBITDAの赤字が続いていたが黒字化を果たし、ユーザー数も法人・個人合算ベースで過去最大となった」と好感触を伝えた。
全社における第1四半期の連結売上高は、前年同期比%41増の95億4000万円、SaaS ARRは同30%増の255億円、EBITDAはマイナスから5億3000万円と黒字化、売上総利益は同53.1%増の65億4000万円となった。中堅企業向けARRは同66.3%増の75億5800万円、SMB向けARRは同30.4%増の107億3500万円に成長した。
ビジネスドメイン、ファイナンスドメイン、SaaS Marketingドメイン
ビジネスドメインの売上高は前年同期比45%増の59億9000万円、課金顧客数は同28.4%増の15万8190、個人を含めた全体では同27.1%増の33万3993と全体では過去最大の純増数を実現。法人ARPA(Average Revenue Per Account:1アカウントあたりの平均売上)は、同11.5%増の11万5645円となった。
ファイナンスドメインの売上高は前年同期比88%増の6億4300万円となり、請求・決済代行事業(ストック売上)は同44%増の1億7500万円と高成長を維持。売掛金早期資金化事業(フロー売上)はマクロ環境をふまえた与信の引き締めにより、引き続き慎重な対応を進め、HIRC FUNDでは営業投資有価証券の売却に伴う売り上げを計上した。
SaaS Marketingドメインの売上高は、今期から連結対象となったBizHintの業績が好調なことを受け、売上高は前年同期比57%増の11億5700万円となり、BizHintを除くと同15%の成長となった。
Xドメインとホームドメイン
Xドメインの売上高は前年同期比39%増の6億6000万円、ストック売上はDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービス「Mikatano」シリーズの堅調な成長により、同39%増の3億7000万円となったがフロー売上はストック売り上げ中心のビジネスモデルの移行により、同20%減の2億9000万円の進捗となっている。
ホームドメインの売上高は、前年同期比16%図の10億8900万円となり、新NISA対応の投資一任サービス「SUSTEN for マネーフォワード」の提供開始により、アセットマネジメント領域への機能拡大でユーザーへの提供価値向上を目指す。また、「マネーフォワード ME」と「マネーフォワード クラウド確定申告」を併用するユーザー数も継続的に向上しているほか、マネーフォワード MEの利用者数は1560万、課金ユーザーは53万を突破した。
業績見通しに変更はなく、2024年の連結売上高は前年比30~38%増の395~420億円、SaaS ARRは同30~37%増の300~316億円、EBIDAは10~30億円を計画。
会見の最後に辻氏は「前回の通期決算で発表した中長期の財務ターゲットで2028年の通期売上高1000億円以上、SaaS ARRは800億円以上、EBITDAは300億円以上と高成長、マージン改善の両立を目指し、長期的にはEBITDAマージン40%以上を計画している。2024年はEBITDAマージンを10~15%改善し、2025年以降も継続的な改善を図る」とコメントしていた。