NTTデータとテラスカイは4月12日、両社のSalesforce(セールスフォース)事業の強化に向け、資本業務提携を締結すると発表した。同提携によりNTTデータは、テラスカイの株式と新株予約権を取得し、今後テラスカイが発行する株式の20.12%を取得する。
NTTデータは、セールスフォースをはじめとしたCX(カスタマーエクスペリエンス)領域で3年後に500億円のビジネス規模拡大を目指す。他方のテラスカイは、グループ全体において3年間で計170億円以上の売り上げを目指すとのことだ。
NTTデータ「日本一のエンジニアグループ目指す」
テラスカイは2006年の創業時からセールスフォースに特化して事業を展開しており、最高難易度資格者も国内最大の5人を抱えている。また、セールスフォースの認定資格数も国内で2番目に多く有しており、認定資格者保持数6位のNTTデータと協業することで、4670人もの資格者を有することになり首位に立つ。
同日の記者会見に登壇したNTTデータ 取締役常務執行役員 テクノロジーコンサルティング&ソリューション分野担当の冨安寛氏は、「テラスカイは多くの優秀なエンジニアを抱えている。提携を通じて日本一のエンジニアグループを目指す。『NTTデータはセールスフォース事業を積極的に展開できていない』という認識を払しょくしていきたい」と述べた。
NTTデータは今回の提携を通じて、テラスカイが持つ人材とノウハウを、金融や公共インフラといったNTTデータが持つインダストリーアセットと組み合わせる。また、3月25日に商用提供を開始した同社の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(ツヅミ)」を活用した生成AIサービスなども企画する。
さらに、テラスカイが進める地域自治体と連携したデジタル人材育成を両社で推進していく。「首都圏を中心に国内のセールスフォース人材の獲得と育成を加速する」(冨安氏)という。こうした取り組みを促進するため、テラスカイではしかるべき時期にてNTTデータより非常勤取締役1人の受け入れを行うなど、戦略的な情報交換を実施していく考えだ。
テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏は「テラスカイはまだまだベンチャー企業で、認知度が高いとはいえない。NTTデータの厚い顧客層に対してセールスフォースの導入を加速させていく」と、意気込みを見せた。
テラスカイ佐藤社長「当社の要望を汲んでもらった」
資本提携の内容は少し複雑だ。まず、NTTデータが、グループ会社のNTTテクノクロスが保有するテラスカイ株式138万4600株(10.76%)を立会外取引で譲受し、市場買付けで67万株程度(5.21%)を目安としてテラスカイ株式を取得する。加えて、テラスカイからNTTデータに新株予約権の割り当てを行い、この新株予約権の行使すると、株式の20.12%を取得できるといった流れだ。
しかし、この新株予約権の行使条件は、原則として「2025年2月期から2027年2月期のいずれかの事業年度において、テラスカイの連結損益計算書における営業利益が1度でも25億円を超過した場合」だという。
冨安氏は「条件未達の場合は、計画を練り直す」と説明し、佐藤氏は「数年前から議論を交わし、当社の要望を汲んでもらった資本提携だ。NTTデータが提案した『2割程度の株式取得』に好感が持てた。緊張感をもってしっかりと結果を出した上で、提携を進めていく」と述べた。
佐藤氏は続けて、「私の感覚だが、現状のテラスカイの株は安い。ピーク時から半減している。成果を上げ市場からの理解を得た上で、新株予約権を行使してもらう」と説明していた。