【財務省】「政治とカネ」問題を巡り大臣が丁寧な説明に腐心

財政運営に関する発信で〝安全運転〟に徹している印象の鈴木俊一財務相だが、国会では自民党派閥の政治資金規正法違反事件に関し、丁寧な説明に腐心している。「政治とカネ」を巡る野党からの攻勢や世論の反発をやわらげようと奮闘しているかのようだ。

 3月26日の参院予算委員会で鈴木氏は「政治家でも一般の納税者でも公平に扱われていることを形としても示していかなければならない。疑念があれば、そういうことはないということを丁寧に示していく必要がある」と語った。

 鈴木氏は同日、2023年分の確定申告の期限だった3月15日を終えたことについて「国税庁から特段の支障なかったと報告を受けた」と説明。SNSでは「#確定申告ボイコット」とのハッシュタグを付けた投稿が拡散。批判の矛先が鈴木氏にも向かい、2月の国会答弁では税務署などの担当者を踏まえ「申し訳ないような気もしている」と身内に気遣う場面も。参院予算委では「厳しい指摘、批判を受け、真摯に受け止めている」と言い添えることも忘れなかった。

 一方、外国為替市場での円安進行について、鈴木氏は「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず」対応する姿勢を強調し、為替介入も辞さない姿勢を示唆した。

 ただ、為替の動向を巡っては、神田真人財務官が鈴木氏に先立ち、記者団の取材に応じる形で円安進行をけん制することも少なくなく、「目立ちたがり屋の財務官に先を越されている」(財務省中堅)との声も。とはいえ、日銀の金融政策転換で日本経済は金利上昇局面に入り、財政運営の道のりは険しい。政権の要としても鈴木氏の手腕は今後も注目されそうだ。

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