鶏肉は宗教的制約が少なく需要拡大が期待される
「インドは人口が世界一になり、経済成長をしている。インドでの鶏肉消費量は2030年に600万㌧以上と、20年対比で倍近くになると見ており、今回の出資を決めた」
こう語るのは、三井物産食料本部食糧事業部長の佐野豊氏。
三井物産が、インドの大手ブロイラー(肉用鶏)事業会社スネハ・ファームズへ出資する。出資金額は400億円弱で、来期(2025年3月期)中の出資完了を目指す。
豚肉を食べてはいけないイスラム教など、宗教によっては食べてはいけない食品を定めている場合もあるが、鶏肉は宗教的制約が少ない。このため、世界的に需要が拡大するとみられている。
近年、インドは経済成長が続いており、インド全土での1人当たりGDP(国内総生産)は約2400ドルに達した。しかし、一人当たりの鶏肉の年間消費量は、アメリカやマレーシアで50キロ以上、日本は18キロあるが、インドは3キロ程度(世界の平均は約15キロ)とまだまだ消費量は少ないのが現状だ。
「一般的に、一人当たりGDPが2500ドルを超えると急速に動物タンパクの消費量が増えると言われている。富裕層も増えており、鶏肉はマーケットでの有望なアイテム。有望な地域だと考えており、インドで高品質なたんぱく質の供給に貢献できれば」(佐野氏)
三井物産は24年3月期の純利益が9500億円と、過去2番目の高水準となる見通し。資源ビジネスを中心に成長しているが、資源は市況変動が激しい。そのため、近年は安定した利益の見込める非資源ビジネスを強化しており、今回の出資もその一環。好業績にあって、事業再構築を進める同社である。