キリンHD社長に南方健志氏 9年ぶりの社長交代

「いかに人の力を高められるか。個人の力を高め、組織の力を強くしていきたい。現場を重視した舵取りが自身の強みであるのでそれを発揮していきたい」─。こう語るのは、キリンホールディングス次期社長の南方健志(みなかたたけし)氏。

 キリンホールディングスが9年ぶりに磯崎功典氏から社長交代する。磯崎氏を会長職として「CEO」「COO」体制を導入。

 これまでを振り返り、磯崎氏は「会長兼社長として全てを自分1人で抱えるのは限界がある。事業基盤が固まった今が次世代にバトンタッチするタイミングであり、会長として俯瞰的にグループ全体を捉える役割、南方氏にはCOOとして実行していく力を期待し、2人体制でグローバル経営の舵取りを行っていきたい」と語った。

 磯崎氏は9年間社長として会社を牽引。ブラジル撤退など低収益事業を売却し、19年は過去最高の株価を記録。国内ビール事業の立て直しも進めた。

 南方氏は1984年東京大学農学部卒業後に入社し、生産部門からスタート。取手工場に配属され「キリン一番搾り」などの商品開発、品質管理を工場現場で支えてきた。その後ミャンマー・ブルワリー社の社長として、クーデターが起きた社会情勢不安の中も、言葉の壁を超えて現場の人々をまとめあげた点が評価された。また、買収した豪ブラックモアズ社との統合やキリンが注力するヘルスサイエンス事業を成長させてきた。

 磯崎氏は「比較して例えるなら、自分がFIREで直感型人間に対し、南方新社長はCOOLな論理型人間だ」とし、「大きな組織を今後バランス経営していく際に、意見が違うことが組織にとって大事」と話した。

 食・医薬・ヘルスサイエンスの3領域を展開するキリングループ。2人体制で各事業の稼ぐ力とグローバル化を推進していく。