ルネサス エレクトロニクスは4月9日、同社のArmコア搭載32ビットマイコン「RAファミリ」を拡充し、ローエンド向けに低消費電力シリーズ「RA0」を追加したことを発表。併せて、同シリーズの第1弾として、コスト重視のアプリケーションに向けた「RA0E1グループ」の量産を開始したことを発表した。

RA0シリーズは、動作周波数32MHzのCortex-M23コアを搭載しつつ、アクティブモードで84.3μA/MHz、スリープモードで0.82mA、ソフトウェアスタンバイモードで0.2μAの低消費電流を達成。高速オンチップオシレータ(HOCO)を組み合わせることでスタンバイモードからの高速起動が可能となり、バッテリ駆動の民生用電子機器や小型家電、産業機器、ビルディングオートメーション(BA)などの低消費電力化に寄与することが可能となると同社では説明している。

すでに同社はローエンド向けに同じCortex-M23コアを採用した「RA2シリーズ」(動作周波数は48MHz)を展開しているが、ユーザーからはさらなるローエンドニーズにもArmコアで対応を望む声が多くあり、2021年より仕様検討を開始、RA0シリーズの量産化に至ったという。

  • ルネサスのRAファミリの製品ポートフォリオ

    ルネサスのRAファミリの製品ポートフォリオ(2024年4月時点) (提供:ルネサス)

その第1弾となるRA0E1グループは、コスト重視のアプリケーション向けに機能を最適化したグループで、例えば動作電圧が1.6V~5.5Vと広いため、5Vシステムでのレベルシフタやレギュレータが不要なほか、シリアル通信、アナログ機能、安全機能、HMI機能を搭載しているため、BOMコストの低減を図ることも可能。さらに内蔵のHOCOも±1.0%の精度を提供しており、これにより外部オシレータを使用せずに、通信のボーレート精度を維持することが可能となるため、さらなるBOMコストの低減ならびに実装面積の低減を図ることが可能だという。加えて、-40℃~+105℃の環境下で±1.0%の精度を維持できるため、リフロー工程後でも精度が保証され、それに伴い時間のかかる「トリミング(精度調整)」の工程を省くことも可能になるとしている。

このほか、家電向け安全規格である「IEC60730」準拠した自己診断ライブラリも提供するなど、動作の異常を診断できる安全機能や、真性乱数発生器(TRNG)やAES暗号化ライブラリといったセキュリティニーズにも応える機能を提供しているとする。

なお、同グループのソフトウェア開発には、同社のFlexible Software Package(FSP)を利用でき、ユーザーは独自のソフトウェアコードや所望のリアルタイムOSをFSPに統合することで、アプリケーション開発に柔軟性を持たせることができるようになるとしている。