セールスフォース・ジャパン(セールスフォース)は4月10日、2025年度のアライアンスおよびパートナービジネスの戦略に関する説明会を開催した。同説明会に登壇した専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長の浦野敦資氏は、「信頼できるデータとAI(人工知能)、CRM(顧客関係管理)を組み合わせて、パートナービジネスの成長を加速していく」と述べた。
セールスフォースは、2025年度のグローバルでの売上高が380億ドル(約5兆7683億円)になるとの業績予想を立てており、「エンタープライズの売上高で世界で第3位になる」(浦野氏)見込みだという。主力のサブスクリプション(定額課金)部門の売り上げが好調で、特に生成AIを活用した営業支援ソフトなどが伸びている。
セールスフォースは他社に販売活動を行ってもらうパートナービジネスにも力を注いでいる。浦野氏は2025年度のパートナービジネス戦略において、「パートナー企業のビジネス拡大」と「エコシステムの強化」の2軸で、今後の成長を加速させていくとの方針を示した。
AIを活用した新たなパートナーモデルを発表
「パートナー企業のビジネス拡大」では、新規顧客の開拓を強化する。具体的にはリセラーパートナー向け施策を強化し、地域・銀行関連事業者との協業を加速させる。銀行関連事業者との協業については、首都圏から地域までエリアの拡大を進め、新規受注件数を前年対比で2倍にすることを目指す。
また、AIといった先端ITを活用した新たなパートナーモデル「OSP(アウトソーシングサービスプロバイダー) パートナーシップ」を日本で本格展開させる。同パートナシップは、アウトソーサーがセールスフォースが提供するITサービスを所有・運用し、高付加価値なアウトソーシングを提供するモデルだ。
「米国市場ではすでに運用しているモデルで、パートナーは先端ITをフル活用することで、生産性や品質が向上し、売り上げの最大化を実現できる。また、複数顧客向けIT環境の一元管理も可能になる。顧客企業は、業務とITを統合したサービスを利用することで、アウトソーシングの成果を最大化できる」(浦野氏)
AIスキル習得・AIアプリ開発の支援を強化
他方の「エコシステムの強化」では、認定資格者の増加に向け、AIスキル習得の支援を強化する。
セールスフォースの認定資格保持者数は順調に増加している。2024年度の日本国内の認定資格者は約1万7000人と前年度比で34%増加した。2025年度はさらに3000人増え、約2万人になる見込みだ。「今後はAIとデータに特化した技術者育成に注力していく。全体の10%にあたる2000人がAI・データの技術者になることを目指している」(浦野氏)
同社はAIスキルの習得支援を強化するため、AIの基礎や同社のAIサービスの実務などの理解につながるAI学習コンテンツの提供を4月9日より開始した。17種類70時間のコンテンツを新たにリリースした。
加えて、同社の「AppExchangeパートナー」向けのAIアプリ開発支援も強化する。浦野氏は「AIアプリの民主化を進め、ユースケースの探索やプロトタイプの開発支援、製品化計画支援といったサポートも行う」と説明した。
IT専門調査会社IDC Japanは、国内のAIシステム市場が、2027年までの23.2%もの年間平均成長率で成長し、2027年には1兆1035億円の市場規模になると予測している。
浦野氏は「ビジネスのためのAIには信頼できるデータが必要だ。データの質が高まれば、AIはさらに賢くなっていく。信頼できるサービスを提供しつづけるために、パートナービジネスを加速させていく」と意気込みを見せた。