加藤鮎子・こども政策担当大臣「こどもまんなか社会の実現を。子育て世帯をみんなで支えていく社会をつくっていきたい」

「多くの結婚しない方々の理由のひとつに、やはり経済的な不安というのがあります。そういった方々が、結婚してこどもを産み育てることになっても、将来ちゃんと国や社会が支えていく世の中にしていきたい」とこども家庭庁の加藤鮎子大臣。若い世代の結婚や子育てに関する希望をどのように実現していくか? 二児を育てる母親でもある加藤大臣は、「若者の声をしっかり聴いていきたい」と力を込める。

日本全体でこどもを支える社会体制に変革

 ―― 昨年4月に新設された子育て世代を支援するこども家庭庁。大臣就任から半年経ちましたが、政策の方向性、ビジョンはどのように描いていますか。

 加藤 はい。こども家庭庁のミッションは「こどもまんなか社会の実現」です。「こどもまんなか社会」というのはどういう姿なのかといいますと、全てのこども、若者が、精神的、社会的、そして身体的に幸福な生活を送ることができる社会のことをいっています。この社会を実現するために、昨年12月、「こども大綱」というものを策定いたしました。閣議決定をされました。これはわが国初でありまして、その幅広いこども政策を総合的に推進するために、今後5年程度の基本的な方針ですとか、重要事項を一元的に定めたものになっています。

 ―― これを進めていくにあたり必要なことは何ですか。

 加藤 こどもや若者、子育て当事者の声をしっかり聞いて聴いていくということです。意見をしっかり聞いて聴いて、その声を受け止めて、実際に政策に反映をしていくという、このプロセスをとても大事にしております。

 さらには、日本全体で子どもこどもと子育て世帯を支えていくという社会機運を醸成していくということも大変重要だと考えています。

今まではこども、子育てといったらお母さん、家庭でという考え方や子育て世帯をする方が多かったと思います。そうではなく、社会全体で育てて応援していくのだということ。その社会の中には、もちろん企業さまですとか、地域とか、そういったプレーヤープレイヤーの方々も、こども子育てを真ん中に据えて、みんなで支えていこうよという、そういう社会をつくっていきたいと思っています。

 ―― 具体的な経済的支援の実現に向けて特別会計令和6年度こども家庭庁予算で4兆8000億円5兆2,832億円の予算もつき、非常に大事な役割を担っていますね。

 加藤 そうですね。経済的な支援が非常に重要だと考えています。こども未来戦略というのも昨年12月に閣議決定をしておりまして、この中で子育て世帯をはじめとする若い世代が、しっかりと所得を上げていける、そういった構造的な賃上げなどを柱のひとつとしてうたっています。 

それから、子育て世帯にずっと続いていくライフステージの中で、切れ目なくしっかり支援をしていくとこと。

例えば高校生を育てているご家庭に対して、これまで以上に手厚くということで、児童手当の拡充なども含まれています。

 ―― 子どもこどもを育てる親の支援、あるいはまた働く環境整備も大事ですよね。

 加藤 そうですね。経済界の皆さまに身近な部分ですと、育休がありますので、そこのところもが、しっかりと支援をしていきます。

これまで女性育休、男性育休というものをずっと推進してきましたが、まだまだ取得率は上がっていません。

この現状の中で、生まれて約1カ月子の出生直後の一定期間以内に、男女ともに14日以上の育休をとってくれたのであれば、そこに関しては、最大28日間、手取り実質10割を支給していきましょうということを、今般の未来戦略の中に盛り込んでいるところです。

これはこれから人口減少が進んで、労働力不足に陥ってくるこの企業さんたちにとっても、共働き家庭にとっても、子育てとお仕事の両立を共働き家庭がしっかりやっていくことができるというよう後押しにもなるというふうに考えています。

 ―― 産業界ではいま特に人手不足は深刻です。また、若い世代が結婚をしたがらない、こどもを産みたくないという人が増えているようですが、このことについてこども家庭庁はどう捉えていますか。

 加藤 多くの結婚しない方々の理由のひとつの中に、やはり経済的な不安というものが挙げられます。

そういった方々に、結婚して、こどもを産み育てることになっても、将来ちゃんと国や社会がちゃんと支えていく、そういうふうな世の中に変わってきているといいうことをお示ししていきたいと思っています。未来に希望と少しでも安心感を持っていただきながら、結婚を希望している方々に、その希望をかなえられる環境を整えていくお手伝いをしたいと思っています。

 ―― 20代~30代の若い世代に大臣から何か伝える言葉はありますか。

 加藤 国としてもこれまではなかった「こども大綱」を初めてつくりましたので、これから若い方々がこの国でしっかりこども子育てもしていけるし、若い自分たちの声がちゃんと国の政策に反映されていくんだという希望や自信や信頼、そういったものをもって、ぜひ自分らしく生きていってもらいたいなと、こんなふうこのように思いますね。

 ―― 本当ですね。この前厚労省から2023年の出生数が過去最少の75万人と発表が出ました。団塊の世代の頃と比べ4分の1に近い減り方に危機感を感じます。

 加藤 そうですね。結婚する、しないというのは、個人の価値観もありますので、プレッシャーを与えたり、押しつけたりするということは、国としてはすることではないと考えています。

とはいえ、結婚をいつかはしようと思っているという方々に対して、希望をかなえるのに何かハードルがあるとしたら、それはしっかり取り除いていくということが大事であってです。そういう若い方々の応援をしっかりして、産みたい人が産める、結婚したしたい人が結婚できる、そういう社会をつくっていきたいと思います。

 ―― 大臣就任から約半年たちましたが、半年間での手応えはありますか。

 加藤 やはり年末にこども大綱とこども未来戦略のを閣議決定をさせていただいたしたというのが、ひとつの大きな節目でございましたし、今、予算委員会に入り先日、こども子育ての関連法案を国会に提出させていただいておりますいただきました。まだまだ皆さまへの理解発信が進んでいないところもありますが、未来戦略に盛り込んでいるたくさんの政策はとても充実したラインアップでありますので、給付が拡充するということをもっともっと伝えていきたいなというふうに思っています。

 ―― 改めて政治を志望されたお気持ちを聞かせてくれませんか。

 加藤 父(加藤紘一氏。元内閣官房長官、自由民主党幹事長・故人)の姿を見ていたというのもあります。父は困った方や、声が届かない方々の言葉や思いにも耳を傾けていた政治家だと思っています。

話すと長くなるので具体的に申し上げませんけれど、父のした仕事によって自分の人生が変わったといって言っておられた方がおられましたので、そういう姿を見て、自分も同じように自分のした仕事を通じて、未来に希望が持てたとか、生活が変わったとか、そういうふうそのように国民の皆さまに言ってもらえるように尽力していきたいなと思います思っています。

 

 ―― 最後に座右の銘を教えてください。

 加藤 「至誠天に通ず(しせいてんにつうず)」です。う本当にこの言葉のとおりといいますか、事の思い入れといいますか、誠の思い入れという、うそのない真っすぐな気持ちで頑張っていれば、いつか道は開けると、そういう気持ちで、天に通じるという思いで仕事を一生懸命頑張っています。