テラスカイは4月9日、Salesforceと生成AIを組み合わせた新サービス「mitoco AI」の提供を開始した。
ERP×生成AIの「mitoco AI」とは
mitoco AIはSalesforceのオブジェクト構造を学習し、ユーザーの自然言語による要求に対して、Salesforce組織内に格納されたデータから適切な回答を導き出す。自然言語文による検索・集計機能や雑談機能、ログ収集、カスタムオブジェクトメンテナンス画面などの機能を提供する。
mitoco AIについて、テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏は「顧客情報や財務情報、会計情報、経費精算情報、勤務情報、販売・購買・在庫情報、社員情報といったERPのデータを生成AIに問い合わせながら、迅速な意思決定を可能にする。つまり、ERPと生成AIを融合しているものだ」と説明している。
具体的には、mitoco AIは指示を受けると回答に必要なデータをどのようにオブジェクトから取得すべきかを判断し、その実行計画をMicrosoft Azure上の生成AIに依頼。
OpenAIは実行計画に沿ってデータを取得するためのSOQL(Salesforce Object Query Language)を発行し、mitoco AIはSOQLを実行してSalesforceのオブジェクトからデータを取得することで、適切な回答をユーザーに返す。
Salesforce上に会計や販売管理システムを統合する「mitoco ERP」と組み合わせることで、ヒト・モノ・カネ・顧客情報すべてのデータに横断的にアクセスが可能とし、AppExchange。ユーザーは意思決定に必要となるデータの利活用を手軽に行うことができるほか、多言語対応となっている。
自然言語での要求が可能なため、レポート作成やBI(ビジネスインテリジェンス)の使用に必要なスキルは不要なことから、必要な情報を迅速に得ることができるため、業務効率化と生産性の向上を実現するとしている。
セキュリティも担保
また、mitoco AIはMicrosoft Azure上の生成AIから回答に必要なデータを取得するための実行計画の指示を受け、Salesforce内の業務データから適切な回答を生成。Salesforce内の業務データを生成AIにわたすことがないため、セキュリティ面の懸念はなく、安心して利用できるという。
今後、2024年10月にグループウェア、経費・勤怠、会計といった同社製品への対応やRAG(Retrieval-Augumented Generation)対応の「Ver.2.0」、2025年以降はAIの「Salesforce Einstein」やデータクラウドに連携した「Ver.3.0」を予定している。
なお、mitoco AIはSalesforceやテラスカイ製品にバンドルする形で提供し、価格は30ユーザーで50万円~。
同社ではこれまでのSalesforceの知見を活かし、mitoco AIを2029年までの5年間で300社への売り上げを計画。mitoco ERPによるSalesforce上での情報の一元化の実現と、mitoco AIによるSalesforceの活用、定着化を実現することで、ビジネスイノベーションの実現を支援する。