中堅半導体洗浄装置メーカーのジェー・イ―・ティ(JET)は、2023年12月に公表したRapidus(ラピダス)から受託していた「基礎研究開発業務」を完了し、ラピダスより新たな研究開発業務に関する2024年度の計画と予算の承認を受けたと発表した。
この新たに受託した研究開発業務は、従来の基礎研究から「試作装置製作に関する研究開発業務」とステップアップした名称となっているが、受託先との守秘義務契約に基づき、取引内容の詳細などについては非公表としている。
ただし、JETではこの取り組みを通じて、ラピダスが北海道千歳市に建設を進めている2nmプロセス対応半導体工場「IIM(Innovative Integration for Manufacturing)」の半導体製造ラインに自社開発の装置の納入を目指すとしている。
この試作装置の内容は不明だが、ラピダスは製造プロセスのすべてを1枚ずつウェハを処理する枚葉処理(オール枚葉処理)で行うことで、一般的な半導体製造と比べて短TATでのウェハ処理を終わらせることを特徴としており、この実現に向けて洗浄装置大手のSCREENや東京エレクトロンが手掛けていない特殊仕様の枚葉ウエットエッチング・洗浄装置が開発されるのではないかとみられている。
なおJETは、2009年に倒産したエス・イー・エス(SES、旧三協エンジニアリング)を前身企業とし、SESの韓国における販売代理店であったZEUS(本社は韓国京畿道華城市)が2009年4月に全額出資する形で設立された洗浄装置メーカー。2009年5月にSESの岡山グリーンテクノ工場などを事業譲渡により引き継いで半導体向け洗浄装置を中心に事業を展開している。