アリババクラウドは4月8日、Alibaba Cloud Spring Launchにおいて、中国本土以外にある国際データセンターを利用する国際顧客向けの新しい価格戦略と新サービスの提供開始について発表した。同社はすべての規模の顧客によりアクセスしやすいコンピューティングリソースを提供し、AI時代の長期的な成長を支援することを目指すとのことだ。
生成AIの開発を支援する新サービスを提供開始
アリババクラウドはAI活用の敷居を下げる目的で、管理されたLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)サービスを導入した。このサービスではLLMのモデルアーキテクチャとクラウドインフラストラクチャーの統合と運用を効率化する専門家へのアクセスが提供される。これにより、企業は複雑な実装を気にすることなくLLMのビジネス価値の活用に集中できるようになるという。
高性能コンピューティングタスク向けの包括的なAIコンピューティングプラットフォームであるPAI-Lingjun Intelligent Computing Serviceが、シンガポールでも利用可能となったようだ。同サービスはAI開発、AIトレーニング、コンピューティングリソース管理など、さまざまなフェーズのAIエンジニアリング機能を提供する。
また、同社のAI駆動の持続可能性ソリューションであるエナジーエキスパートは、オープンAPI(Application Programming Interface)サービスの導入により機能を強化。このソリューションはLLMの能力とドメイン固有の知識を使用して開発された、炭素マイクロサービスとエネルギーマイクロサービスを提供するという。なお、これらのサービスには、炭素排出量の計算、炭素排出量の最適化、エネルギー消費の監視、予測、最適化などの機能が含まれる。
新しい価格戦略
新たな戦略においては、コンピュート、ストレージ、ネットワーク、データベース、ビッグデータを含む5つの主要なパブリッククラウド製品カテゴリーを対象とし、平均23%、最大59%引き下げる。新価格はアリババクラウドの公式Webサイトを通じて発注する既存顧客および新規顧客の両方に適用されるとのことだ。
Elastic Compute Service(ECS)サービスにおけるさまざまな支払いモデルに、割引が適用される。従量課金制や定期購読、節約プランが含まれ、多くのECSインスタンスタイプと世代も対象になるという。例として、従量課金制を好む国際企業はECSおよびElastic Block Storage(EBS)の費用をそれぞれ最大で30%または59%削減可能のようだ。
安定した費用対効果を維持するために、新しいObject Storage Service(OSS)リソースプランにおいては、顧客が特定の地域で1年間のストレージ容量を予約すると、より高いグレードでの割引が得られる。中小企業向けに展開する500ギガバイトストレージプランの1年間のパッケージ価格は、63米ドルから16.99米ドルまで値下げされる。
データベース製品(ApsaraDB RDS for MySQL、ApsaraDB RDS for PostgreSQL、ApsaraDB RDS for MariaDB、ApsaraDB for Redis、ApsaraDB for MongoDB など)のユーザーは、1年から5年までの長期パッケージで、最大50%の割引が受けられる。同様に、MaxCompute、Hologres、DataWorks、Realtime Compute for Apache Flink、OpenSearch などのビッグデータ製品は1年から3年の定期購読プランで最大50%が割引される。
さらに、クラウドデータ転送サービスの国際顧客向けの無料月間利用量を20ギガバイトから200ギガバイトに拡張。このサービスは、サービス間で発生するデータ転送のボリュームと費用を制御して請求書を生成するネットワーク製品。
グローバルパートナーシップエコシステムを強化
同社は国際的なパートナーシップネットワークの強化を図るため、ファイナンス関連のインセンティブについても発表した。リセラー向けの標準割引率と手数料率の引き上げ、リセラー向けのイニシャルティア要件と年間取引目標の撤廃、市場での存在感を高めるためのチャネルパートナーへのサポートの強化が含まれるという。
さらに、パートナーのサービス提供能力を向上させるためのトレーニング・エンパワーメント・プログラムを標準化し、専門的なパートナーサービスマネージャーの役割を導入した。専属担当によるサポートも提供するとのことだ。