【国土交通省】膠着続くリニア問題 3年ぶりに静岡県知事と面会

リニア中央新幹線・静岡工区の着工を巡り、国土交通省の村田茂樹鉄道局長が2月、静岡県の川勝平太知事と県庁で面会した。鉄道局幹部が知事と個別で会ったのは約3年半ぶり。

 村田氏は川勝氏に対し、昨年12月に国交省の有識者会議がまとめた同工区の環境保全策に関する報告書について説明。報告書は事業主体のJR東海に対し、水生生物が棲む沢の水の流量が減るのを防ぐ対策を提示。沢の流量や水温の調査を継続的に行うよう求めている。

 さらに村田氏は、JR東海が行う環境保全対策の実施状況を継続的にモニタリングするため、同省に新たな有識者会議を立ち上げることを伝えた。村田氏は「報告書を出して終わりではなく、絶えず見直しをしていくことが大事だ」と訴えた。

 一方、依然として着工を認めない川勝氏は「英知を結集し、解決していかなければならない」と指摘。新会議の設置については「高く評価している。さすが鉄道局だ」と話した。

 国交省のある幹部は「川勝氏の反応はどこまで本心か分からない。われわれはやることをやるだけだ」と強調。一方で「過去には事務次官が話をしに行っても取り合ってもらえないこともあった。少しずつ対話ができる関係になってきているのではないか」と、変化の兆しに期待感をのぞかせた。

 その後、モニタリングを巡る有識者会議の初会合が実際に開かれ、委員を務める専門家らが報告書に基づく対策が適切に行われているか監視し、JR東海が説明責任を果たしていくことを確認した。本工事だけでなく、着工前のボーリング調査も監視対象とする。

 斉藤鉄夫国交相は会合冒頭、「リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けてしっかり取り組んでまいりたい」と述べた。

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