ガートナージャパン(Gartner)は4月3日、テクノロジー人材の将来についての展望を発表した。2027年までに日本企業の70%は、ハイパースケーラーやAIの認定資格取得がITリーダーになるための必須要件になるという。
これからのエンジニアはクリエーター的存在となる
エンジニアに求められるスキルや役割は転換期を迎え、これからのエンジニアはクリエーター的存在となり、テクノロジーを活用して企業ビジネスを革新し、新たな成長につなげるための推進力になるという。
米国や欧州のトップ企業は10年前からエンジニアリング・カンパニーになっており、ハイパースケーラーやAIなどのテクノロジーを駆使することでテクノロジー/データ駆動型ビジネスを展開しているとのこと。
また、新しいテクノロジーを導入する際に、よく「概念実証(PoC)」という言葉が使われる。PoCは、テクノロジーの有用性や適用性を評価するために行われることが一般的だが、昨今ではテクノロジーそのものよりもむしろ、人や組織の能力がPoCの成否に大きな影響をもたらすことが明確になりつつあるという。
Gartnerは、今後はPoCの重要性が低下し、代わりにテクノロジーの日常的な経験が重視される傾向が強まると予想している。ユーザー企業では、PoCを企画する人がテクノロジーに精通していることは珍しく、企画自体をベンダーに「丸投げ」するケースも多く見られるという。このような方法では「やった感」は出せるものの、結果としては費用と時間の無駄になることが多いと同社は指摘する。
好奇心指数が高い人が求められるように
今後、ユーザー企業でテクノロジーの導入を企画・推進する人物としては、好奇心指数(CQ)が高くテクノロジーを自ら経験する人やテクノロジーの本質を把握できる人が求められ、テクノロジーに関するリテラシーが高い企業では、評価目的のテクノロジーの試行導入はうまく機能する、と同社は予測する。
一方で、リテラシーが低い企業では、テクノロジーを活用しようとする意欲が低く、何も導入できない状況が続くと指摘する。仮にベンダーに丸投げしてPoCを行ったとしても、適切な評価やビジネスへの影響を生み出せずに終わる可能性が今後も継続するという。
2027年までに、日本企業の60%はテクノロジーの試行ではテクノロジーが使えるのかではなく人材が使えるかが試されていると理解し、PoCという言葉を廃止するとGartnerは見ている。
日本企業においては、担当者にクラウドやAIなどの認定資格取得が推奨されるケースが増えている一方で、上司が何も勉強しないケースも依然として多い。部下にAIで成果を出すよう要求する一方で、自分は「できるのか」「もうかるのか」といった言動を繰り返す例が散見されているという。しかし、Gartnerでは日本企業の役員が、自ら「G検定」を受ける動きが一部で出始めていることも確認しているとのことだ。
企業は今後、学習する上司、学習する組織を奨励する傾向となり、ITリーダーを例に挙げると、ハイパースケーラーやAIなどの認定資格の取得を担当者のみならず、リーダーや役員にも求められるようになり、2027年までに日本企業の70%は、ハイパースケーラーやAIの認定資格取得がITリーダーになるための必須要件となると、同社は見ている。