オムロン ヘルスケアとエムスリーは、脳梗塞などのリスクの高い疾病につながる危険な不整脈である「心房細動」の早期発見・早期受診を促進することを目的とした、新たな医療相談サービスを2024年3月より開始した。
心房細動は不整脈の一種で、患者の4割が無症状といわれるほど早期発見が難しく、年に1度や2度の健康診断や病院の検査では症状を捉えるのが難しい場合があることが知られている。また、自覚症状があってもしばらく安静にしていると症状が治まる場合も多く、初期の段階で放置してしまった結果、最終的には重症化してしまうケースもあり、発症すると脳卒中の発症リスクが約5倍に高まるというデータがある。しかし、早期発見と治療によって重症化を防ぐことができ、その早期発見のためには、自覚症状がある時など心房細動の発作が起こっている時の心電図を記録することが重要となってくる。また、そうして得られた心電図の判読には専門的な知識が必要であることから、早い段階で医師に相談することが望ましいとされている。
オムロンは、そうした心房細動リスクの高い高血圧患者が家庭において血圧測定と一緒に心電図を記録できる上腕式血圧計「HCR-7800T」や、不整脈の疑いがある人が両手の親指と左足(ひざ上もしくは足首の内側)に密着させることで心電図を記録できるコンパクトな携帯型心電計「HCG-8060T」、動悸や胸痛などの自覚症状がある人が、発作時に電源を入れて胸に当てるだけですぐに記録が開始される携帯型心電計「HCG-8010T1」などさまざまなタイプの測定器を提供することで、家庭での心電図記録を可能とし、心房細動の早期発見・早期治療をサポートしてきた。
しかし、家庭での心電図記録を行うだけで、最終的な医療機関への受診につながらないことも想定され、そうなれば結果として早期発見・早期治療を完全には達成できないという課題があったという。
今回、両社が協力して開始した新サービスは、そうしたオムロンの家庭用心電計などで取得した心電図データと、エムスリーが提供する定額課金の医療相談サービス「アスクドクターズ」を連携させることで、オムロン ヘルスケアの心電計などの利用者を対象に、脳梗塞などの病気の予防につなげることを目的としている。
オムロン ヘルスケアは、最近の血圧値のトレンドについて、高血圧患者の血圧コントロールは改善傾向にあり1961年から徐々に値が下がってきている一方で、脳血管疾患や心疾患の発症数は横ばいもしくは増加しているというデータが示されており、脳心血管疾患の発症をゼロにするには、血圧値のコントロールだけでは足りないとの考えもあり、このたびの両協業を開始するに至ったとする。
エムスリーが提供するアスクドクターズは、心電図や心電計に関する相談件数が2023年1月から12月の1年間で合計4000件を超えており、その中には心電図記録デバイスを用いた相談も多く含まれていたという。今回の新サービスにより、家庭で心電図を記録し、心房細動の可能性がある場合、アプリケーション内のポップアップにて受診を促したり、アスクドクターズ内で心電図などを医師と共有しながら相談できるようにすることが可能となり、タイムリーな受診アドバイスなど速やかな受診に向けたサポートが提供されることとなる。
また、両社が保有する検索機能や疾病啓発コンテンツを集結する形で、少しでも不安や悩みを抱えている人が気軽に受診できる新たな医療機関検索システムが構築されているため、例えば、動悸・息切れなどの初期症状を感じた際に情報を検索することで、自宅に近い循環器専門クリニックを提示してくれるなど、心房細動の早期発見に特化した医療機関を検索することも可能だという。
なお、両社は今回の連携したサービス提供を通じて、心房細動の早期発見と早期治療を実現し、脳・心血管疾患の発症ゼロの実現を目指すとしている。