コムニコ、「炎上レポート」2023年版を公開 ジャンル別炎上件数1位は「リテラシー不足」

ラバブルマーケティンググループの子会社で、企業のSNSマーケティングを支援するコムニコは3月26日、「SNS炎上事件」の傾向分析をまとめた「2023年炎上レポート」を公開した。炎上ジャンル別の炎上件数1位は「リテラシー不足」なことなどがわかった。

企業のSNSマーケティングを支援するコムニコは、批判的な言及や引用ポスト(引用リツイート)数が多い「SNS炎上事件」を2023年の1年間調査し、その傾向分析をまとめた「2023年炎上レポート」を公開した。

X(旧 Twitter)でトレンド入りした投稿や、ネットニュース化された投稿、引用リポストで批判が多い投稿、批判的なリプライが多い投稿、メンションはつけないが批判的な言及をしているリプライを炎上の基準とし、コムニコ従業員が目視でピックアップ。「災害」「熱狂的アンチ」「巻き込まれ炎上」といった炎上ジャンルのほか、「芸能」「公務」「飲食サービス業」など業種分類表(経済産業省)を元にした業界で分類し、炎上が起きやすい投稿種類を分析している。

業界別の炎上件数ランキングや炎上してしまった際の緊急対応フローなどを紹介しており、自社のWebサイトで提供するほか、同レポートの情報をまとめた記事を自社が運営するSNS運用のヒントが見つかるメディア「We Love Social」に掲載している。

<SNS炎上総数は「189件」、炎上元の媒体1位は「X」>

同レポートによると、2023年に観測されたSNS炎上事件の総数は189件で、炎上期間中に言及された関連キーワードの総数は1846万4813件、平均炎上日数は22日となっている。

SNS炎上で最も多い媒体は「X」で、「X」上でSNS炎上の火種となる言及があり、リポストやリプライで批判が集まり「炎上」状態となることが多く見られたとしている。

2位は「オフライン」で、全年の20件対し、49件と大幅に増加した。炎上元が、SNSを含めるデジタル上のみに限らず、オフライン上で行われるイベントや日常の出来事、企業の取り組み、著名人の行動で、それを見た人がSNSに投稿したことがきっかけで「炎上」状態になるケースが多く見られたとしている。

2023年から、オフラインで行われるリアルイベントが本格的に戻ってきたこともあり、多くの企業がリアルイベントを検討すると思われるが、オフライン上であっても「炎上」のリスクが十分に潜んでいることを留意すべきだろうと注意を喚起した。

<炎上ジャンル別の炎上件数1位「リテラシー不足」>

炎上した投稿をジャンル別に分類して集計したところ、炎上件数が1番多いのは「リテラシー不足」だった。「リテラシー不足」に関しては、不適切な表現だという認識(知識)が足りずに多くの人を不快にさせる投稿をしてしまう例や、著作権や景表法など法律に関する知識が不足した状態で投稿して批判を浴びる例、生成AIが作成した画像や動画の利用への疑問の声が多く挙がるなどの例が見られたとしている。

2位は「思想」と「オフライン」が同数、次いで「モラル」という結果だった。「モラル」では、いわゆる「私人逮捕」系の動画や「飲食店での迷惑行為」の動画に関する内容への言及が多く見られた。

ジャンル別で1番多かった「リテラシー不足」は、企業公式アカウントの投稿と個人の投稿、どちらにも多数見られたとし、企業公式アカウントの投稿の場合は、複数かつ属性が異なる従業員による二重三重チェックを入れ、防ぐのもひとつの方法だと提案。これは「操作ミス」や「差別」といったカテゴリーの炎上防止にも有効だとしている。

【炎上さしすせそ】

企業公式アカウントではなく、企業名をプロフィールやアカウント名に入れた個人アカウントでも、「リテラシー不足」による炎上を起こしてしまった場合、企業にとってのリスクとなる可能性が十分にあるとし、こうしたリスクを防ぐには、従業員のリテラシー教育の実施も防止策として有効だと考えられるとした。

炎上防止の方法例としては、投稿承認を行えるツールの利用、SNSリスクマネジメントやリテラシーを学ぶ、SNS炎上に備えるサービスの利用、SNSマーケティングのプロへの事前の相談、炎上した事件の傾向の確認と対策を挙げた。

コムニコ、およびコムニコが設立したSNSエキスパート協会では、「炎上レポート」の他にも企業の炎上防止やリスクマネジメントに役立つサービスを多数提供しており、今後も各企業・団体がSNSを安全に、そして効果的に活用してマーケティング活動を行えるよう、オウンドメディアや調査レポートを通した情報発信、サービスの開発を行っていく考えを示した。