【財務省】首相の「デフレ脱却宣言」へ 日銀の金利政策との足並み揃うか?

2024年春闘では主要企業の労使交渉で満額回答が相次ぎ、政府の「デフレ脱却宣言」の時期が焦点になってきた。支持率低迷にあえぐ岸田文雄首相にとってデフレ脱却宣言は苦境打開の切り札だが、「金利のある世界」への転換を模索する日銀との足並みを揃え、国民の理解を得られるか。財政当局の鈴木俊一財務相の対応が注目される。

 3月8日の参院本会議で、鈴木氏はデフレ脱却の判断について、「日本経済は再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っておらず、デフレから脱却したとまでは考えていない」と指摘。「日本経済は高水準の賃上げや過去最大規模の設備投資など前向きな動きもみられ、デフレ脱却に向けて千載一遇のチャンスを迎えている」とも述べた。

 12日の閣議後会見でも同様の見解を示し、デフレ脱却判断の材料に関しては「デフレ脱却のために何が足りないのかについて一概に答えることはできない」と説明した。

 鈴木氏は2月にブラジルで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に欠席。ロシアのウクライナ侵略や米中対立が長期化する今、相対的に政治が安定している日本が積極的に国際経済にも関わり存在感を高める好機だが、鈴木氏は国会対応を理由に参加を見送った。24年度予算案審議を巡り野党との攻防が激化していたとはいえ、「そもそも国際会議に参加する意欲は薄い」(財務省幹部)という見方もある。

 少子化対策の財源確保のため、公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」を巡っても加藤鮎子こども政策担当相の国会答弁は迷走しているが、鈴木氏は我関せずの対応に終始。日本経済も岸田政権も正念場にある今こそ、鈴木氏の手腕が問われている。

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