TrendForceによると、DRAMサプライヤ各社は設備稼働率を高めることで赤字からの脱却を目指しているが、在庫そのものは健全な範囲にまで達しておらず、2024年全体を通した需要も鈍いままの可能性があるという。また、2023年第4四半期以降、サプライヤ各社は値上げを進めているため、消費側の在庫拡充の勢いはさらに鈍化することが予想されるため、2024年第2四半期のDRAM契約価格の上昇率は前四半期比で3~8%ほどに留まる見込みだという。
セグメント別の動向
セグメント別に見るとPC DRAMはDDR4からDDR5への移行が進み、第2四半期に需要が高まることが予想されるという。第2四半期の契約価格は、第1四半期に最大20%ほど上昇したこともあり、3~8%ほどの上昇見通しとなっている。
サーバDRAMは、DDR5の在庫積み増しに関心が集まっているが、第1四半期時点でDDR5は予想ほど市場に浸透しておらず、需要の拡大は限定的となっている。そのため、サプライヤ各社はDDR5の生産を増やし、大量販売を図ることで売り上げの増加を目指している。結果としてDDR5の価格上昇率は徐々に弱含んできているという。一方のDDR4は容量の制約による価格引き下げ圧力が弱まっており、結果としてDDR4の価格上昇率がとDDR5の価格上昇率を上回り、それぞれの価格差が縮まることが予想されることもあり、サーバDRAM全体としても第2四半期の契約価格は同3~8%ほどの上昇とみられるという。
モバイルDRAMは、減産と2023年下半期から2024年第1四半期まで続いた需要の拡大により、メーカー在庫が減少したことから、サプライヤの交渉状況が好転。各社ともに収益性の向上に向け、第2四半期の契約価格を同10~15%以上に引き上げるという野心的な目標を設定している模様だという。ただし、TrendForceではバイヤー側が消極的な交渉姿勢を見せており、それがサプライヤの価格設定を軟化させる可能性があるともしており、最終的に同四半期の価格上昇率は同3~8%ほどになると予想している。
グラフィックスDRAMは、ほかのDRAM製品の値上がりに引っ張られる形で価格上昇が進み、主流のGDDR6 16Gビット品に対する需要は引き続き高く、バイヤーはサプライヤの値上げを受け入れており、価格下落の兆候は見られないという。さらにサプライヤ各社は生産能力の多くをHBMにシフトさせており、結果としてGDDRの生産計画は比較的保守的な方向に向かっているという。結果として、第2四半期のグラフィックスDRAMの価格上昇率は同3~8%ほどになると予想している。
コンシューマDRAMは、主にAI関連分野で安定した需要が期待されるほか、テレビやネットワーキング分野で一定の需要が期待されるが、中国の通信・インターネット分野のプロジェクトの進捗が遅延しているため、市場全体を見れば低迷が続くことが予想されるという。ただし、大手3社と、それ以外の台湾メーカー各社の間で、価格戦略に大手3社はAI需要に乗じて値上げを断行する動きを見せているが、台湾メーカーは在庫削減が思うように進んでおらず、値上げが限定的になるという顕著な違いが見えており、全体としてのコンシューマDRAMの契約価格上昇率は同3~8%ほどに落ち着くと予想されるとしている。