2024年3月26日、クリックテック・ジャパンが2024年の戦略説明を行った。2023年5月にデータ連携や統合のソリューションを提供するTalendの買収を完了し、2024年1月からはTalendを統合した新生Qlikとして、ロゴも刷新し活動を開始している。新生Qlikが目指すのは、企業が持つ多種多様なデータと、企業に求められる成果の間にあるギャップを、Qlikのデータパイプラインで埋めることだ。
Talendの買収でデータパイプラインをトータルでサポート
企業が扱うデータは種類も量も増え、散在している。また、データを社内外の多くの人が扱うようになり、リスクが増大している。一方、企業は商品をより速く市場に提供したい、あるいは変化する市場環境でも安定したサプライチェーンを実現したい。他にも高い精度でリスクを予測し、顧客満足度も上げたいと考えている。
これら企業が求める成果には、AI技術などを含むデータの活用が欠かせない。しかし多くの企業では、データがあっても直ちに利用できないのが現状だ。
「データを集めその意味を正しく理解し、データの信頼性や安全性を確保できなければなりません」と言うのは、クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井 浩氏だ。その上でデータを分析した結果を、ビジネスの文脈に変え、新たな行動にまで変えられなければならないと指摘する。
散在するデータから行動に至る一連のデータパイプライン処理を、トータルで支援するのが新生Qlikのソリューションだ。そして、データパイプラインではAI技術を取り込み処理や管理の自動化も目指していると今井氏は言う。
Qlikのデータパイプラインのソリューションには「データ統合と品質」「分析、AI、機械学習」「基本サービス」という3つの領域がある。分析、AI、機械学習部分は、もともとのQlikが主にカバーしてきた領域だ。
Talendの買収で強化されたのが、データ統合と品質の領域だ。データパイプラインを統合的に支援するために、Talendを買収したことにもなる。
また、新生Qlikでもデータを蓄積するデータベースエンジンは持たない方針だ。AWS(Amazon Web Services)やGoogle Cloud、Microsoft Azure、さらにDatabricks、Snowflakeなども含め「クラウド・データウェアハウスベンダーとは等距離外交で、すべてのクラウドサービスをサポートし、基本サービスやデータ統合と品質、データ分析、AI、機械学習サービスを、Qlik、Talendの製品で提供します」と今井氏は説明し、旧来強みだったBI(ビジネスインテリジェンス)は今やQlikのケイパビリティの一部に過ぎないとも言う。
日本ではSAPのデータを解放しパートナー戦略も強化する
生成AIが大きな注目を集める中、改めてデータの重要性が浮上している。AIエンジンを動かすのはデータであり、アウトプットの質の向上には品質の良いデータが欠かせない。
企業にデータレイクやデータウェアハウスがあっても、生成AIなどで活用したいデータがすべて集められているとは限らない。既存環境はセキュリティやガバナンスを確保した上で、誰もが欲しいタイミングで欲しいデータを容易に取得できる仕組みにもなっていない。
生成AIの活用で企業がデータをより利用しやすくするために、Qlikでは新たに戦略的な2つの投資をしている。それがMozaic DataとKyndiの買収だ。
Mozaic Dataは、AI技術を活用したデータプロダクトカタログで、それをSaaSで提供する。Kyndiは構造化データと非構造化データを包括的にハンドリングし、LLM(大規模言語モデル)に効率的に社内データなどを渡す手法のRAG(Retrieval Augmented Generation)とアンサーマネジメントの技術を提供。これにより、生成AIのハルシネーションなどの課題を解決する。