三菱電機は3月26日、サステナビリティ説明会をオンラインで開催し、同社グループが目指すサステナビリティと、社会課題解決に向けた取り組みなどについての説明を行った。
説明会に登壇したのは、同社 代表執行役 執行役社長CEOの漆間啓氏、同 常務執行役 CSO(経営企画、IR・SR、関係会社、3つの改革推進、サステナビリティ担当)、CDO(DX担当、ビジネスイノベーション本部長)の武田聡氏。
同説明会において同社はカーボンニュートラルに向けた中長期目標として、2024~2030年度までの7年間で、グリーン関連の研究開発に約9000億円を投資することを発表した。
具体的な投資の内訳としては、カーボンリサイクル・材料・製品の循環利用実現に向けた研究開発や、再生可能エネルギー導入拡大に貢献するエネルギーマネジメント、機器の省エネ化・電動化や、炭化ケイ素(SiC)や酸化ガリウム(Ga2O3)などの次世代パワー半導体の研究開発を中心に据えるとしている。
また、2022年度までに100%再生可能エネルギー化を達成した拠点は国内で9拠点、海外で10拠点あるとしたうえで、2030年度までに、再生可能エネルギー設備の導入や100%非化石電力の調達などを行い、自社の工場・オフィスにおける使用電力100%クリーンエネルギー化を目指すとも説明。そして、2050年度にはバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す方針も併せて示した。
すでに同社ではグリーン関連の研究開発に対し、2021~2023年度の3年間で約3700億円を投じてきた中で、今回さらに投資を継続していくことを決めたことに対して漆間氏は、資材価格の高騰や人手不足などを受けて一部企業では脱炭素やDX関連の投資を先送りする動きもみられているが、「事業を通じて社会課題を解決するということを我々は今後も注力したいと考えているため、必要に応じて投資も継続的に実施したいと考えている。重点的に投資をする必要がある事業が出ればさらなる投資も検討している」と、自社の事業を発展させることと並行して社会や環境を豊かにしていくことが三菱電機として重要な方針であることを強調した。
同社では、「マルチリージョンEMS」にて、電力エリアが異なる社内の複数拠点をつなぎ、再生可能エネルギーの自己託送や蓄電システムの最適運用、環境価値管理を2024年3月から2年間にわたって社内実証を行うことを計画するなど、デジタル技術を活用し新たなソリューションの創出に向けた取り組みを推進している。
なお同社では、社会課題を解決するには、その課題解決を牽引していく体制強化も並行して行っていく必要があるとし、2024年4月には社内横断組織として価値創出・基盤強化を包括的・戦略的に推進する 「サステナビリティ・イノベーション本部」を新設することも決定済みとしており、今後も新たな事業創出をはじめとした、サステナビリティの実現に向けた体制強化も進めていくとしていた。