シュナイダーエレクトリックは3月28日、LiB(リチウムイオン電池)採用のモジュラー型UPS「Smart-UPS Modular Ultra」と、同じくLiB採用の単相UPS「APC Smart-UPS Ultra」のラインアップに新たな容量帯を追加し、4月1日に発売を開始すると発表。これに伴い、同日に都内で記者説明会を開催した。
モジュラー型UPS「Smart-UPS Modular Ultra」
APC Smart-UPS Modular Ultraは、最大20kVAの単相としては初となるLiB採用のモジュラーコンセプトのUPS。
すでに同社が北米で発売を開始しており、医療機関や研究機関、工場におけるIoTネットワークや物流拠点における自動倉庫ネットワークを有する企業での利用を想定。エッジ環境においても高度・高速なデータ処理が求められることで、高密度化が進む昨今のITインフラ環境において、コンパクトでありつつ高密度、拡張性の高いUPSを求められていたことから開発された。
シュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 プロダクトマネージャーの今野良昭氏は市場を取り巻く環境について「AIや機械学習といった高負荷アプリケーションにより高い消費電力が求めれているほか、スモールスタートから始めて拡張性を確保し、徐々に拡大する電力とスペースに対応したいとというニーズがある。また、常時接続前提のシステム運用を実現するためのシステム全体の可用性のほか、エッジサイトの増大とIT人材不足に伴う遠隔監視・管理の簡素化が求められている」と指摘。
鉛素材を採用した同等容量の従来UPSと比較して、サイズは約53%小型化、重量は約59%軽量化し、IT設備におけるUPSのスペース占有を抑えられることに加え、床耐荷重などの条件が限られる環境にも高密度なIT設備を構築できるという。
また、モジュールコンセプトのため段階的(4.4kVA、8.8kVA、13.2kVA、17.6kVA)に容量の追加が可能な拡張性を備えており、UPS単機でN+1冗長化を実現。制御部、電源部、バッテリーが個別に冗長可能で、ライブスワップ機構により稼働中に各モジュールを交換することも可能としている。
さらに、バッテリーは最長10年間の寿命を実現し、鉛を採用した従来バッテリーと比較して約4倍となり、バッテリー交換のメンテナンスが長期間不要となり、IT人員の負荷を低減するとともに、長期的な視点でTCO(総所有コスト)の削減に貢献するとのことだ。
プラスチック素材の使用も極力排除し、リサイクル可能な素材を用いることで、廃棄時の環境負荷も50%低減しているいという。オプションとして、最大10年間のサポートサービス、EcoStruxure ITによるリモート監視に対応している。
APC Smart-UPS Ultraのラインアップを拡充
一方、単相UPSであるAPC Smart-UPS Ultraもラインアップを拡充した。日本市場では、5kVAモデルを2021年12月より提供開始しており、今回は容量帯に新たに8kVAと10kVAを追加。
8kVAと10kVAは、先行して発売した5kVAモデルと同じく、次世代パワー半導体とLiBの採用により、同社の従来の鉛バッテリー採用モデル対比で約33%の小型化、約51%を軽量化している。
設置スペースと重量を低減し、UPS以外のIT機器に有効活用することが可能なため、IT設備の設置が難しかった場所への導入や、複数機器を用いた高密度なIT設備の構築における電源保護に貢献するとのこと。
また、LiBは従来5年だった寿命を2倍に伸ばして最長10年の寿命を提供可能となり、これに伴い、標準製品保証の無償期間を最長5年に延長し、最大10年まで保証を延長できるオプションを整備。メンテナンスフリーでの、安定した長期間の電源保護環境をサポートしている。
先行して発売した5kVAの容量においては、同社の日本市場での販売量のうち、LiB搭載モデルの2023年におけるシェアを約47%(鉛バッテリーは53%)まで拡大。
今後も同社では、ITインフラ設備における電源保護ソリューションとしてLiBを搭載したUPSのラインアップ拡充を予定し、主に5kVA以下の容量帯について、来年以降に新たな製品の追加を計画している。