京セラは3月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して、京セラの超高真空用気密端子技術をベースとした液体水素用の「ハーメチックシール(気密端子)」を開発したことを発表した。
脱石油に向けて水素エネルギーの活用に期待が寄せられるようになっているが、水素の輸送には水素ガスと比べて体積を1/800にできる液体水素が有望媒体の1つとされているが、極低温環境のもと、長期間安定して保冷する必要があり、事故防止のために漏出などを防ぐ必要がある。中でも貯蔵タンクの内外に信号や電力のやり取りのために用いられるハーメチックシールには、一層の高い気密性(耐久性)が求められることになるが、これまでその耐久性に関する指針となる数値に乏しかったという。
そこで京セラは、自社の金属とセラミックスの接合技術を活用するべく、H-IIAロケットなどで液体水素を燃料として活用してきたJAXAの協力の下、日本最大の液体水素実験設備を有するJJAXAの能代ロケット実験場にて、共同研究という形で液体水素環境試験を実施。その結果、開発された液体水素用ハーメチックシールが5MPaを超える圧力の液化水素流通環境下での高い気密性を確保できていることが確認されたという。
なお、京セラでは、今後、さまざまな分野での活用が期待される水素エネルギーの普及に向け、必要とされる液体水素用機器や容器向け製品の開発を推進していく予定としている。