Sansanは3月28日、同社が提供するインボイス管理サービスである「Bill One」を通じて、請求書関連業務に携わる経理担当者を対象に実施した「経理の人手不足に関する実態調査」の結果を発表した。これによると、半数以上が人手不足を感じており、そのうち9割が深刻な状況だと回答している。
同調査は同社が3月18日~21日にかけて、請求書を取り扱う業務を担当する全国の経理担当者1000人を対象に実施したもの。
加速する経理の人手不足
自社の経理部門で人手不足を感じることがあるか尋ねると、「感じている」または「どちらかといえば感じている」との回答は計50.1%、「どちらかといえば感じない」または「感じない」は計49.9%という結果であり、半数強が経理の人手不足を感じている。
人手不足を感じているまたはどちらかといえば感じている回答者に深刻度を聞いたところ、「かなり深刻」「深刻」「やや深刻」が計85.2%に上った。
人手不足を感じているまたはどちらかといえば感じている回答者に、その要因を聞くと、「インボイス制度・電帳法対応に伴う業務の増加」が51.3%で最多だった。
インボイス制度開始から約半年、電子帳簿保存法の宥恕終了から約3か月が経過しても、業務負担が未だに続いていると同社は見る。
2位は「新たな経理人材を採用できないため」(48.1%)、3位は「業務の自動化やシステム導入が進んでおらず業務の生産性が低いため」(32.1%)だった。
法制度対応により業務負荷が増える中で、新しい人材の獲得やシステムを利用した生産性向上が求められるものの、十分に取り組めていない企業の実態が明らかになったと、同社は指摘している。
人手不足の要因は?
人手不足の要因として「担当者の高齢化による担い手不足」を挙げた回答者の比率を地域別に見たところ、四国地方、北海道・東北地方、中国地方で担い手不足が顕著であるものの、最も少ない関東地方でも20.4%と2割を上回っており、全国的に課題になっていると同社は見る。
経理の人手不足による企業への影響では、「経理処理のミスや漏れが生じる」が48.5%と最も多く、以下「残業や休日出勤などの時間外労働が増える」(47.7%)、「月次決算の遅れが生じる」(32.9%)が続く。
自社で経理の人手不足への対策をしているかを尋ねると、「対策をしている」との回答は31.9%に留まり、「対策をしていない」が68.1%に上った。
人手不足を感じている回答者に自社へ求める人手不足対策を質問したところ、「人員増加のため、採用に力を入れてほしい」が56.1%と最多であり、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)ツール導入など、業務の生産性向上に取り組んでほしい」が40.7%で続いた。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応によって経理担当者の業務負荷がさらに増える中で、新たな経理人材の獲得に加え、DXツールなどの使用による生産性の向上も企業に求められていると、同社は分析する。
調査結果について同社は、「人手不足に伴う具体的な影響を質問した中で、特に印象的だったのは、月次決算業務の遅延により『経営判断が遅れている』というコメントが多かったことです。人手不足への対策をできていない企業は約7割にのぼっていますが、経理人材の不足により経営面でも影響が及ぶ可能性があることを鑑み、各企業では早めに対策を練る必要があると考えます」とコメントしている。