【株価はどう動く?】日銀の金融政策変更を睨んで株価は調整、4月から新たな上昇局面か?

株価上昇が急ピッチで調整局面入り

※本稿は3月18日、19日の金融政策決定会合前に執筆されました

 以前から指摘してきましたが、2023年4月以降の日経平均株価は3万円から3万5000円のゾーンで動き、なかなか3万5000円の壁を抜くことができませんでした。11月20日の3万3853円が23年の高値でした。

 3万5000円の壁を前に、かなりもたついたわけですが、23年中はほぼ6カ月かけたにも関わらず、年末までに抜くことができませんでした。

 ところが24年に入ると、この壁をあっという間に突破し、上に窓を開けるという強い日足が出て新値を取ってくるという動きになりました。

 相場の波動から言っても、ピッチが相当速く、上げ幅も大きかったですから、どこで調整が入ってもおかしくないという状況でした。

 23年は約半年かけても3万5000円の壁を抜けなかったのに、24年に入って1カ月で抜いたわけですから。しかも、3月に入って4万円の壁をも突破しようかという動きになり、3月7日には4万472円という高値を付けたのです。

 年初からの急ピッチの上げ幅は、2カ月で5000円以上でした。これは調整あって然るべしというタイミングでした。国内では、本誌発行時には結果が出ていますが3月18日、19日の日本銀行の金融政策決定会合が行われています。本稿執筆時、市場ではマイナス金利の解除が濃厚だという観測が流れていました。

 これを利上げ、金融引き締めと市場は受け止めて、3月11日などにはザラ場で1000円以上下落するという厳しい下げがありました。

上昇の過程か それともバブルか

 4万472円を付けた後の市場の見通しは、強気の人は「4万円台乗せの後の調整局面に過ぎない」と見ますし、弱気の人は「バブルだ」と見ています。調整局面なのか、目先の天井なのか見方が分かれます。

 相場の波動で見ると、この短期波動の出発点はどこかというと、23年10月4日、10月30日のダブルボトムからです。10月4日の安値から、3月7日の高値までは9985円、約1万円上げています。この3分の1押しなら、せいぜい3万7000円近辺までの下げになります。

 私の見方は、下げ幅は小さく、調整局面の期間は短くなるのではないかというものです。

 日経平均株価は史上初めて4万円の大台を付けたわけですが、相場の世界には「初押しは買い」という格言がありますので、目前の下落調整局面は絶好の押し目買いチャンスかもしれません。

 3月7日の4万472円は、バブルの天井だった1989年12月の3万8915円に対してダブルトップになっています。

 日銀の政策決定会合までの株価は、マイナス金利解除を織り込んでいます。

 しかし、日銀はマイナス金利を解除しても、株価や景気に配慮したメッセージを出すのではないかと思います。ですから私は3月18日、19日頃までには調整局面が終わると見ています。

 予定通り、マイナス金利解除が発表されれば、〝売り材料出尽くし〟になって、株価の急反発もあり得ます。どちらにしても、4月相場入りから新たな上昇局面に入っていくのではないでしょうか(編集部注:実際、3月19日に日銀はマイナス金利解除を含む政策変更を発表)。

米FRBの利下げを左右するインフレ率

 また、米国株式市場でハイテク株が売られる局面があれば、日本株も連動して下げると思いますが、米国の株価はそう下げられないでしょう。

 なぜなら、大統領選挙の年ですから、バイデン大統領は株価が下がることを好まないだろうからです。

 それでなくともバイデン大統領は、共和党のトランプ候補から「アメリカの偉大さを破壊している」などと攻撃されています。ですから、市場からの観測が強い利下げは行われるものと見ます。

 ただ、FRB(米連邦準備制度理事会)がいくら利下げをしようと考えても、インフレ率が高まってくると、すぐには利下げできないということはあり得ます。

 この後、日本の株式市場は3月の配当権利落ちを経て、4月から新たな上昇波動に入っていくと見ていますが、4月には25日、26日に再び日銀の政策決定会合が行われます。ここはまた株式市場にとって重要な日です。

 日銀としては、どこかで物価目標2%を達成したという「旗」を立てたいだろうと思います。日本経済は黒田東彦氏以来の日銀の金融政策が功を奏して、ついに30年以上続いたデフレを克服して、2%という適度なインフレ経済に入ったという宣言をどこかでするでしょう。日本は景気がよく、適度なインフレということになると、このことは長期的に株高につながります。

 いずれにせよ、4月からは新たな上昇相場が始まり、証券各社の社長が予想しているように、日経平均は4万2000円から4万3000円を目指すことになります。

 日本の投資家はバブル以来の含み損を抱えてきたことから売りの姿勢が強いのが現状で、今の日本の株式市場を支えているのは海外投資家です。このことを懸念する声もありますが、私は問題ないと考えます。

 海外投資家、特に欧米の機関投資家やファンドは、今後ますます日本株の比率を高めてくるものと見ています。今の覇権国対民主国の対立構図の中で、世界のマネーがどこに投資するかというと米国と日本しかありません。平時であれば欧州も含まれますが、ロシア・ウクライナ戦争の戦場だというリスクがあります。

 それに加えて、24年1月からスタートした新NISAを通じて、眠れる個人金融資産から巨額のニューマネーが株式市場に入ってくるでしょう。

 ですから日米の株価は、一時的な下落局面はあっても、24年、25年と上昇が続くものと予想しています。