オランダの大型バス製造メーカーとして知られるVDLグループの子会社でハイテク製造装置の受託製造事業を担当するVDL Enabling Technology Group(VDL ETG)が、オランダのベトナム貿易使節団の一員としてベトナムを訪問中の3月19日、ベトナム北東部で相手先ブランドの半導体製造装置の新工場の建設を間もなく開始し、2025年第1四半期(1～3月)末から第2四半期(4～6月)初めにかけて出荷を開始する計画を発表した。

同社は、シンガポールの不動産開発企業フレーザーズ・プロパティとの間で建設に関する提携覚書を交わしたと説明している。

  • 覚書締結式の様子

    VDL ETGとシンガポールのフレーザーズ・プロパティとの間で交わされた工場建設に関する覚書締結式の様子 (出所:VDL ETG)

具体的な投資額は明らかにしていないが、地元メディアによると数百万ユーロ規模とみられ、稼働当初の従業員数は60人程度となるという。

同社は、オランダのアイントホーフェン、アルメロ、ドイツのトリュバッハ、シンガポール、中国の蘇州に製造拠点を構えており、世界中の顧客の依頼で半導体製造装置や太陽電池用薄膜成膜装置、分析装置などの産業機器を製造している。

米国のバイデン大統領が2023年9月にベトナムを訪問し、両国の半導体分野の協力強化を発表して以来、NVIDIA、Synopsys、Amkor Technologyなど米国の半導体関連企業が次々とベトナムへの投資を発表したり、拠点を構える動きを見せているが、今回のVDL ETGのような欧州勢も生産拠点を中国からベトナムや東南アジアへと移転させる動きが出てきた模様である。