キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は3月27日、画像解析AIシステムで必要なWebシステムをクラウドで提供し、APIの利用で手軽な画像解析を支援する画像AI連携プラットフォーム「Bind Vision」を4月1日から提供開始すると発表した。
昨今、人間の目視作業の代替となるAIを活用した画像解析市場は成長を続けており、画像解析の活用範囲は人物判定を用いた防犯/セキュリティ分野、人流/混雑解析などのマーケティング分野、製造や流通業界での物体を判定する不良品解析や設備保守点検など多岐にわたる。
一方、一般的に画像解析AIシステムを開発する際は、AIの学習/評価/開発のほか、カメラ設置やサーバ構築などさまざまな作業が必要となり、その中でも認証機能やセキュリティ機能を搭載したユーザーインタフェースを提供するWebシステム開発には、多くの工数がかかるため、画像解析AIシステム全体の費用が高額となり、納期も長くなるといった課題があるという。
Bind Visionの概要
Bind Visionは、画像解析AIシステムで大きな割合を占めるWebシステム開発部分をクラウド提供するサービス。Webシステム機能を担う「プラットフォーム」をベースに、独自開発画像解析AI「クラウドAI」と「エッジ AI」を加えた3つの要素で構成されている。
プラットフォームは、Web APIによる画像や数値データの登録/配信機能を提供し、利用者が開発したAI解析結果の受信も可能。受信したデータはデータストアに保存され、ブラウザ上のダッシュボードから手軽にグラフィカルにデータを閲覧することができるほか、クラウドAIに搭載の煙検出AI機能やエッジ AIに搭載の水位測定AIを防災用途に利用することができるという。
今後、Bind Visionの3つの構成要素それぞれに新機能を追加するほか、AI映像解析により店舗におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する自社開発ソリューション「StoreMotion」や、キヤノンが開発する画像解析FAソリューション「Vision Edition」との連携を計画し、画像/映像解析による提供価値と利用用途の拡大を図る考えだ。
煙検出AIはクラウド上で稼働するAIとなり、Bind Visionのプラットフォームに登録された画像から、煙を検出。同AIはクラウド上で解析を実行するため、利用者は画像の登録とAIの呼び出しのみで利用を可能としている。
水位測定AIは、エッジコンピュータで稼働するAI。カメラ画像を取得して解析を行い、解析結果をプラットフォーム」へ送信。いずれのAIもプラットフォームのアラート機能と組み合わせることで、指定した値を超えた際に通知することができる。
防災に寄与する上記2つのAIに加え、今後も同社が独自開発するラベルAIや社債AIなどのAIの追加を予定している。価格は税別で月額3万円、メインターゲットはSIerやAI事業者を想定し、これらを通じてエンドユーザーへの再販ができる。十分な検証を可能とするため一定期間の無償利用が可能なトライアルアカウントを提供し、クラウドAIについては再販またはエンドユーザーへの直接販売を予定。2027年末までに累計100社への導入を計画している。