富士通はアマゾンと提携
大手電機メーカーと米IT大手との提携が相次いでいる。
日立製作所(小島啓二社長)が米半導体大手エヌビディアと提携。生成AI(人工知能)による社会イノベーション事業の加速を目指すことになった。エヌビディアのAIプラットフォームのノウハウを融合することで、日立が抱えるエネルギーやモビリティ、製造業など、幅広い顧客のOT(制御・運用技術)領域で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させることが目的だ。
両者が目指すのは、革新的なAIソリューションの開発。現実世界を仮想空間で実現する「デジタルツイン」で、様々なシミュレーションを行い、最適化した結果を現実の世界に反映させるというもの。具体的には、グリーンエネルギーへの移行加速や交通システムの安全性向上など、日立が得意とする製造業の現場で生成AIを活用し、DXを加速させようとしている。
日立副社長兼デジタルシステム&サービス統括本部長の德永 俊昭氏は、「エヌビディアの生成 AIソリューション群を組み合わせることで、複雑な現実世界の課題を解決し、画期的な成果をもたらす社会イノベーションを加速することができると期待している」とコメントした。
富士通はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と提携し、顧客が持つメインフレーム(大型汎用機)など、レガシーシステムのモダナイゼーション(近代化)を加速する。両社の専任部隊が共同で顧客課題の解決提案や最適なクラウドの提案をできるようにする他、安心・安全な基幹システムのクラウド運用をサポートしていく考えだ。
同社執行役員SEVPグローバルテクノロジーソリューションビジネスグループ長の島津めぐみ氏は「企業経営の基盤となるシステムにも俊敏性や強靭性が求められている。お客様のビジネスを支えるシステムの最新化、モダナイゼーションに注力していく」と語る。
世界中で技術開発競争が進み、日本企業もかつてのように自前の技術にこだわっていては、世界の潮流から取り残されかねない。そうした中で、米IT大手との協業で生き残りを図る電機メーカーである。