欧州委員会(EC; European Commission)は3月25日(現地時間)、「Commission opens non-compliance investigations against Alphabet, Apple and Meta under the Digital Markets Act」において、Apple、Alphabet、およびMetaに対するDMA(デジタル市場法)に基づく違反調査を始めたことを発表した。
これら3社は市場で強い地位を占める「ゲートキーパー」に指定されており、その支配力を背景にして不当な優位性を発揮しないようにする是正処置を求められていた。調査は、それらの処置がDMAで定められる義務に違反していないかを確認するためのもの。
3社に対する調査内容
欧州委員会では、DMAに基づいてAlphabet、Amazon、Apple、ByteDance、Meta、Microsoftの6社を、市場で支配的な地位を持つゲートキーパーに指定している。ゲートキーパーは、指定されたコアプラットフォームサービスごとに、DMAで定められた義務の完全な遵守を保証する具体的な施策を提示しなければならない。
DMAでは、ゲートキーパーが「するべきこと」と「してはいけないこと」が定められており、これを遵守していない場合は、6カ月の猶予期間のうちに是正する必要がある。
ゲートキーパー各社は、2024年9月からDMAの義務を遵守するため、さまざまな施策を発表してきた(参考記事:欧州経済領域において、WindowsからEdgeとBing検索を削除可能に | TECH+(テックプラス)、Apple、2024年後半にiPhoneでRCSを標準サポートすると発表 | TECH+(テックプラス))。
しかし、Alphabet、Apple、Metaがそれぞれ講じた処置は、DMAに基づく義務の効果的な遵守には不十分な可能性があると判断された。具体的には、委員会は次の項目に関する違反調査を実施するという。
- AlphabetとAppleによるアプリストアの運営ルール。DMAでは、アプリ開発者が、ユーザーをアプリストア外のオファーに無料で誘導できるようにすることが求められている
- AlphabetによるGoogle検索結果の表示。自社の利益につながるサービスを優先して検索結果に表示している可能性がある
- Appleのユーザー選択の義務。エンドユーザーがiOS上のアプリを簡単にアンインストールしたり、デフォルト設定を簡単に変更できるようすることが求められている
- Metaの「pay or consent」モデル。最近導入された「pay or consent」モデルでは、ユーザーがプラットフォーム上で広告/追跡なしのエクスペリエンスを得るためには料金を支払う必要があるが、この二者択一はユーザーが同意しない場合の代替手段を提供できない可能性がある
上記のほかに、AmazonとAppleには他の調査措置を講じているとも発表されている。MicrosoftとByteDanceは今回発表された調査対象に含まれていない。
違反した場合の罰金は、最大で全世界の売上高の20%
調査は最長で12カ月にわたり行われる。調査後、委員会は関係するゲートキーパーに対して予備調査結果を通知し、委員会の懸念を解消するための措置や、ゲートキーパーがとるべき措置について説明するという。
DMA違反が明らかになった場合、委員会は対象企業に対して全世界の売上高の最大10%の罰金を課すことができる。違反が繰り返された場合は、罰金は最大で20%に増える可能性があるという。