JFEスチールと日立製作所は3月26日、JFEスチールのコンサルティングと日立の冷間圧延自動形状制御システムを組み合わせたソリューションを、国内外の鉄鋼業界に向け提供開始したことを発表した。
鋼板の製造工程においては、鋼板の両端や中央部分で波打ちが発生することがあり、補正するには機械による形状測定とフィードバック制御、オペレーターの手動操作による微調整が必要となる。経験の浅いオペレーターは形状精度や品質要求の異なる製品を製造するのが難しく、それにより製品歩留まりの悪化や形状不良による破断トラブルが起きやすくなるという。
こうした課題に対し日立は、技能の高い熟練オペレーターの操作データと鋼板の形状データの関係性をAIに学習させ、導き出した結果を制御システムに反映することで質の高い形状制御を自動的に行う技術を2017年に開発し、国内外で冷間圧延自動形状制御システムとして提供している。
また、JFEスチールでは、2021年に自社の製造ラインに同システムを導入し、製品歩留まりの改善・稼働率の向上・自動化によるオペレーター作業負荷の軽減等の効果を上げているのに加え、熟練者層の知識やノウハウが自動的に操業に反映されたことで、トラブル抑止による生産性向上や製品品質の安定化につながっているという。
このたび提供を開始したソリューションは、AIで圧延機による鋼板の形状補正を自動制御する日立のシステムに、JFEスチールの高度な操業ノウハウを活用したコンサルティング(システム導入、最適操業)を、顧客のニーズに合わせて組み合わせて提供するもの。
これにより、オペレーターの技術差による歩留まりの悪化や、熟練技能の伝承などの課題を解決し、顧客の操業技術や製品品質の向上を支援するとしている。