富士通Japanは3月25日、静岡県立静岡がんセンターと共同で全ゲノム解析とRNAシーケンシングを併用するゲノム検査に対応した「がんゲノム医療統合システム(がんゲノム検査業務支援・報告書作成システム)」を開発したことを発表した。
これにより、臨床現場において全ゲノム解析に求められる情報量と質が確保された報告書を作成できるようになり、医療従事者の業務負荷軽減が期待できるという。全ゲノム解析結果とRNAシーケンシング結果の統合解析を実現し、解析結果などの膨大な情報をデータとして蓄積して今後の薬剤開発や治療に利活用することで、患者に対する高精度な情報の還元を支援するとともに、ゲノム医療の社会実装に寄与するとのことだ。
検査結果報告書の作成を半自動化
同システムは、富士通Japanがサービス提供しているゲノム検査業務支援システムを改良したもので、全ゲノム解析結果やRNAシーケンシング結果など大容量のゲノムデータの一元管理を可能としている。
全ゲノム解析をはじめゲノム検査の結果や臨床情報をシステムに取り込み、検出された遺伝子変化に対して公共データベースの情報や研究情報を自動的に付加できる。また、静岡がんセンターの知見をもとに半自動的に検証結果報告書の草稿作成も可能であり、報告書作成における医療従事者の負荷軽減につながる。
報告書に追記した医療従事者の解釈や考察なども含めたすべての情報をデータベースに蓄積することで、次回以降の症例の評価に活用できるだけでなく、新たな治療開発研究や病態解析に関する研究におけるデータ活用にも寄与するようだ。
患者に提供する遺伝子変化情報の精度向上
このシステムでは、全ゲノム解析とRNAシーケンシングの統合解析によって患者へ提供する遺伝子変化の情報の精度を高め、患者の治療方針決定に参考となる情報を提供するとともに、検査結果の評価業務の負担軽減を実現する。