SEMIは3月19日(米国時間)、「300mm Fab Outlookレポート」の最新版「SEMI 300mm Fab Outlook to 2027」を発行し、世界の300mm半導体前工程ファブ装置への投資額が、メモリ市場の回復とハイパフォーマンス・コンピューティングおよび車載アプリケーションからの強力な需要増加により、2025年に初めて1000億ドルを超え、2027年には1370億ドルに到達するとの予測を示したことを発表した。
2025年以降の成長率と市場規模は、2025年が前年比20%増の1165億ドル、2026年に同12%増の1305億ドル、そして2027年の5%増の1370億ドルと予測されている。
国・地域別の動きを見ると、中国が政府の資金援助ならびに国内自給政策によって今後4年間にわたって毎年300億ドルの支出が期待され、300mmファブへの設備投資をけん引することが予測される。また、台湾および韓国は、HPCを中心とする先端プロセスならびにメモリへ需要の増加に伴い300mmファブへの設備投資額を増額することが期待されており、台湾は2024年の203億ドルから2027年には280億ドルへ、韓国は2024年の195億ドルから、2027年には263億ドルへと伸びることが予想されている。
このほか、CHIPS法を背景に米国内での製造を増やすことを目指す米州でも300mmファブへの設備投資が拡大。2024年の120億ドルから2027年には247億ドルまで伸びることが期待されている。
このほかの国・地域の2027年の300mmファブへの設備投資額としては、日本が114億ドル、欧州/中東が112億ドル、東南アジアが53億ドルとSEMIでは予想している。
また、分野別で見ると、ファウンドリ分野では10nm以上の成熟ノードに対する設備投資が減速することが見込まれ、2024年は同4%減の566億ドルと予想されているが、市場全体としては生成AI、車載、インテリジェント・エッジ・デバイスの需要の増加などを背景に成長が続くことが期待されており、当該分野の300mmファブ装置投資額は、2023年から2027年にかけて年平均成長率(CAGR)7.6%で増加し、2027年には791億ドルに達することが予測されるという。
さらにメモリ分野は、AI需要を背景にHBM関連の設備投資が加速。2023年から2027年にかけてのCAGRは20%と見込まれ、2027年には791億ドルに達することが予想されている。その内訳としては、DRAM関連設備投資額はCAGR17.4%で2027年に252億ドル、3D NANDはCAGR29%で168 億ドルに達すると予測している。
このほかの分野の2027年の投資額としては、アナログが55億ドル、マイクロが43億ドル、オプトが23億ドル、ディスクリートが16億ドルとSEMIでは見込んでいる。
なお、同レポートには前回発行の2023年12月版から358のデータ更新と26の新規ファブ/ラインが追加され、世界の405のファブ/ラインを収録しており、SEMIでは、そのうちの75ファブ/ラインが高い確度で2024年から2027年にかけて生産を開始することが予測されるとしている。